【識者解説】自称「タリフマン(関税男)」のトランプ氏 日本に10~20%の関税は本気かブラフか 移民制限と財政出動で「確実に円安は進む」
関税引き上げは交渉のブラフか 石破政権の腕の見せ所
――Q.トランプ氏が大統領になってやはり1番気になるのが日本への影響だと思います。まずは関税の問題について、トランプ大統領は日本やヨーロッパから輸入するものに対して一律で10%から20%関税をかける、中国にいたっては60%関税を引き上げるという公約を掲げています。さらにメキシコ国境を越えてくる全ての自動車に100%の関税をかけるとまで言っています。これで、ホンダや日産などに大変な影響が出てくるかもしれないということです。 小西さん:2つの見方があって、「本当にやる」という人と「これは交渉のブラフであって、100はいかないけど、数十いくんだろう」という人に、専門家の間でも分かれています。本来は北米自由貿易協定というのが90年代からあるわけで、それをトランプ第1期のときに修正して保護貿易的なところを加えてはいますが、それでも関税を100%も取ったら違反になると思います。だからそこをどう交渉で調整するかが重要になります。第1期のときも、日本は安倍さんのときに同盟国だから「ちょっと負けてや」という感じで、他の国よりも関税を低くしてもらったことがありました。ただ今回は安倍さんがいないので、果たして外務省や石破政権がどのぐらい交渉できるかというところで、腕の見せ所ですよ。 ――Q.トランプ氏が大統領になることで今後、円安が進むということは考えられるんですか。 小西さん:確実に円安は進むと思います。トランプの政策というのは、まず移民を制限する。そうすると安価な労働力が提供されないから、賃金が高くなっていくわけです。さらに、トランプは財政出動しますから、インフレ傾向が強くなるんです。すると金利が高止まりになって「ドルで投資した方が儲かる」ということで、アメリカにどんどんお金が集まってドルが高くなる。そうすると円が安くなるということです。
在日米軍の駐留費用、石破さんは「腰を据えて交渉を」
――Q.次に在日米軍についてです。同盟国の「タダ乗り」にトランプ氏は不満を覚えているということで、2016年1期目の大統領のときには「日本はもっとアメリカ軍が駐留するための費用を払うべき」という発言もありました。今後、日本により多くの軍事経費の負担を求めるんじゃないかと言われています。 小西さん:アメリカ軍というのは、もう基本的には傭兵だということです。雇われて、商売でやっているんだと。そうすると日本のポジションとしては「だったらちゃんとしたサービスを提供してくれ」と言うべきです。沖縄で女性に暴行したり、殺人とか窃盗したりするのはどうなんだということを、石破総理は交渉のときに言わなければいけません。今までは何も言わずに、ごまかしてきたわけですが、アメリカが本当に負担増を求めるんだったら、石破さんは安全保障専門なんだから、じっくりと腰を据えて交渉した方がいいと思います。
小西 克哉(こにし かつや) 国際ジャーナリスト 国際教養大学大学院 客員教授 アメリカの政治・社会・文化などに精通
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