台風10号 風は次第に弱まるも強い暖湿気が北陸へ流入 2日頃までは警報級大雨も
台風10号は、紀伊半島の南の海上をゆっくり進んでいます。この海域の海面水温は29度以上と高いため、台風はこのあとも海面から水蒸気を補給され、北上に転じて予報円の中心を進めば、大雨の原料であるエネルギーを補給した状態で北陸地方に近づくことになりそうです。台風が熱帯低気圧に変わると、その時点で進路予想は終了となります。ただ、実際には風が弱まるだけで、大雨をもたらす強い暖湿気を伴っていることに変わりはありません。引き続き9月2日頃にかけて、土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水に注意・警戒してください。
予想進路
台風第10号は、31日15時現在、潮岬の南東約60kmにあって、東南東へ毎時15kmで進んでいます。中心気圧は996hPa、中心付近の最大風速は18m/sです。この台風は、1日3時には潮岬の東南東約80kmに達し、1日15時には尾鷲市の南南東約40kmに達するでしょう。台風はこの後、熱帯低気圧に変わり、予報円の中心を進めば2日15時には福井市付近に達する見込みです。台風周辺地域および進路にあたる地域は強風や大雨に注意、警戒が必要です。また、台風の進路にあたる海域は高波に注意が必要です。
沿岸部まで29度以上と高い海面水温 再びエネルギー補給されて北上か
図は関東・東海・北陸周辺の直近の8月30日の海面水温の状況です。台風10号は紀伊半島の外側の海上の海面水温29度以上の高い海域を大回りしながら進む予想となっています、再発達はしないまでも、海上から大雨をもたらす湿った空気が補給されることもありそうです。
9月2日を中心に短時間の激しい雨や雷雨 局地的には非常に激しい雨も
今後、台風10号は熱帯低気圧に変わりながらも北上し、2日の北陸地方には台風由来の強い暖湿気が流れ込むでしょう。1時間に30mm以上の激しい雨や雷雨となり、局地的には1時間に50mm以上の非常に激しい雨や雷雨もありそうです。水しぶきであたり一面が真っ白になり車の運転が危険になる可能性もあります。そのような場合は、前後左右の安全を確認しながら、ハザードランプを点滅させて徐々に減速、路肩などの安全な場所に車を止めましょう。
非常に激しい雨になると
このあと2日18時頃にかけて予想される降水量は、福井県の多い所で9月の1か月分に匹敵する降水量となる所もありそうです。令和6年能登半島地震の影響で地盤の緩んでいる所があり、少ない雨量でも土砂災害の危険度が高まるおそれがあります。雨の降り方には十分注意・警戒し、安全な所で過ごすようにして下さい。
日本気象協会 北陸支店 河原 毅