東京五輪1年延期…マラソン代表再選考なし方針の影響は?
東京五輪の開催が延期されたことを受け、鈴木亜由子は日本郵政グループ女子陸上部のホームページで、「東京2020オリンピックの延期が決まりましたが、どの様な状況でも自分のベストの走りが出来るよう準備していくことに変わりはありません。世界中がコロナウイルスを克服し、平和の象徴としてのオリンピックが開催されることは、とても意義のある事だと思います。1日も早い収束を心から願っています」というコメントを発表した。 マラソンは本番の3か月ほど前から本格的な練習に入るため、現時点で開催延期が決まったことは、内定者にとってダメージは小さいといえるだろう。 それでもアスリートにとって1年の月日は長い。しかし、幸いなことに内定しているマラソン代表6人は全員が20代だ。最年長は大迫と鈴木の28歳で、女子の前田は23歳、一山は22歳と若い。1年延長することで、全体的にパワーアップできるだろう。 なかでも一山はマラソンに挑戦して、1年ちょっと。プラス1年の準備期間が与えられることで競技力の向上が期待できるだけでなく、経験を積むこともできる。また鈴木は2月の熊日30キロロードレースを右脚太もも裏の肉離れのため欠場したが、慌てることなく、本番に合わせる余裕ができたのも大きい。 選手たちのレベルアップだけでなく、サポート面でもメリットがある。株式会社ウェザーニューズの「スポーツ気象チーム」が日本陸連の科学委員会に入っており、東京のコースについては2019年夏に、気温、湿度、WBGT(暑さ指数)、風向、風速、路面温度を5kmごとに観測。さらに選手が日向 or 日陰をイメージしやすいようにコース動画も撮影した。 しかし、マラソンの開催地が急遽、札幌に移転したことで、マラソンコース上の詳細データを取得することができていない。それが1年延期することで、本番1年前の詳細データの収集が可能。日向と日陰では体感温度が大きく変わるため、気象条件を頭に入れたレース戦略を練ることができるようになる。 一方でデメリットもある。それは選手たちの集中力とプレッシャーだ。2~4月の競技会は中止が多く、東京五輪も延期になり、緊張の糸が切れる可能性がある。気持ちの面ではどうしても“中だるみ“が生じてしまうだろう。