管理職が自身の知識やスキルを伸ばすために実践していること
調査結果まとめ
今回の調査結果より、ステージが低い管理職ほど、管理職としての役割を果たす中で課題をよく感じていることがわかった。 その課題を克服するために、新任管理職は部下をよく観察したり、相手の言葉をきちんと聞き取る力(聞く力)を伸ばす努力をしていることが判明。自身の知識・スキルを伸ばすためには、独学よりも、経営陣・上司・同僚など、周囲に助言を求めることを重視していることも明らかになった。 成長の役に立った会社からの支援についても「上司とのコミュニケーションの機会」と回答した人が多く、新任管理職では上位階層と交流を通じ、視座を高めて成長していきたい様子が見受けられた。 ベテラン管理職においては、管理職としての役割を果たすために、部下の強み・弱みを知る努力をしている傍ら、自身の知識・スキルを伸ばすために、ネットメディアや書籍・雑誌・新聞からの情報収集や、自身の知識・スキルを把握することで、俯瞰した視点を持つ努力をしている様子も見えてきた。 幹部候補は、他ステージよりも課題を感じる機会が少なく、部下を知ろうとする意識が薄いことが特徴だった。一方、自身の役割を果たすために、経営方針を深く理解することで視座を高めたり、新しい仕事の取り組み方を積極的に試すことで自ら変化に対応する環境に身を置く努力をしていることもわかった。 ■CLM(最高育成責任者)の考察 ALL DIFFERENT株式会社 事業開発推進本部 シニアマネジャー 開発室 室長 CLM(最高育成責任者) 根本 博之氏 管理職の役割は、そのステージに関わらず「継続的に組織の成果を創出すること」です。成果を創出するためには、メンバーの課題に向き合うだけでなく、管理職も自身の課題を適時適切に把握し、成長に向けて努力する必要があります。 しかし、今回の調査結果から、管理職はステージが上がるにつれ、自身の課題への実感度が低くなることが明らかになりました。これは、ステージが高い管理職ほど課題を克服できているとも捉えられますが、周囲からのフィードバックを受ける機会が減り、自身の課題を認識しづらくなっているとも考えられます。管理職は、意識的に自身を客観視(メタ認知)し、課題と向き合わなければ、管理職自身、ひいては組織の成長を停滞させてしまいます。 企業側は、管理職本人の自助努力だけに頼るのではなく、組織として管理職の成長を促進するため、管理職が自身の課題と向き合う機会や、課題解決のために学ぶ場を提供する必要があります。例えば、管理職が経営層や上司と対話できる場を設ける取り組みは、管理職の視座を高めたり、自身の役割を改めて認識してもらうことにつながり、課題に気づく有効な解決策になり得ます。 一方、上記取り組みのみでは、変化するまでに時間を要します。中でも、幹部候補は特に変化への抵抗が強い傾向があります。これは、前述した自己認識の不足だけでなく、「既存の成功体験による固執」や「責任の重さによるリスク回避」、「同じ立場の仲間がいない、もしくは少ないことによる孤立感」などが原因であると推察します。 これらを克服するために、幹部候補が一堂に会し、継続的に交流する場を設けることを推奨します。例えば、会議の一部をメンタリングセッション(※)、あるいは学習セッションにするなどの取り組みも有効です。定期的に集う会議の場こそ、工夫次第で有用な組織開発の場になるでしょう。 ※:メンタリングセッション:メンターとメンティが対話の中で一緒に課題を解決しようとする手法 調査概要 調査対象者/同社が提供する管理職向け研修の受講者 調査時期/2024年5月20日~7月17日 調査方法/Web・マークシート記入式でのアンケート調査 サンプル数/415名 関連情報 https://www.all-different.co.jp/corporate 構成/清水眞希
@DIME編集部