大ヒットの『アナと雪の女王』 邦題に込めた思いとは
観客動員数は750万人を超え、興行収入100億円は目前、さらに全世界興収歴代8位にランクインするなど、映画史に残る大ヒットとなっている『アナと雪の女王』。そのファン層は未就学児からシニア層まで幅広く、電車の中やカフェなどの日常の会話の中でも、その話題が話されるなど、もはや社会現象となっている。世界中で大ヒットを記録し、大トリとして日本公開となった本作品。 【動画】『アナと雪の女王』「let it go」動画、「予告編」動画
実は、原題『Frozen』(フローズン)とは、異なるタイトルで公開され、今回の大ヒットにつなげている。本作品の宣伝プロデューサー廣村織香さん(ウォルト・ディズニー・ジャパン)は、邦題を『アナと雪の女王』と名付けた思いを次のように話す。 「今回の作品は、ディズニー・アニメーションで初の、アナとエルサという“ダブルヒロイン”。その2人のキャラクターを伝えることができるタイトルにしたいと思っていました。原題の『Frozen』では、日本人にとってイメージしづらく、また、アナとエルサというキャラクターに関心を持ってもらうために、もっとも相応しいタイトルを、ということで『アナと雪の女王』としました。実は、すぐこのタイトルにしたい、と思ったんです。」と説明した。 また、このタイトルには、もう一つの思いが込められている。「今回の作品は、アンデルセンの『雪の女王(The Snow Queen)』に着想を得て制作された作品です。ストーリー自体は、アンデルセンのものとは全く異なりますが、それでも、アンデルセンの作品を知っている人にも、興味を持ってもらえばということで“雪の女王”の言葉は残しました」と語った。 邦題と原題が異なるディズニー作品はこれまでも少なくない。『カールじいさんの空飛ぶ家(2009年公開)』は『Up』、『レミーのおいしいレストラン(2007年公開)』は『Ratatouille』(意味は野菜料理の1つ)と、原題に捕われることなく表現している。逆に、『ウォーリー(2007年公開)』は、『WALL-E』とそのまま表現されることもある。「タイトルは映画の言わば"看板"なので、どういう風に見てほしいか、どういうタイトルなら日本人に伝わりやすいか考えています」(廣村さん)。作品の持つ世界観をいかにして、まだ映画を観ていない日本の観客に届けるかを念頭に、邦題を検討していく。