<CES>ソニー、進化した車両向け「バーチャルプロダクション」披露。IP活用も大きく打ち出す
ソニーは、米ラスベガスで1月7日(現地時間)から開催されるテックイベント「CES 2025」の本開催に先駆け、ブースの内容を公開。クリエイターに向けた最新技術やIPの活用をテーマに各種展示を構成している。 【画像】屋内で車の走行撮影、新システム「PXO AKIRA」 ブースでは、今回のCESに合わせて発表された移動体撮影システム「PXO AKIRA」(ピクソ アキラ)を展示。実際にシステムに車両が設置され、実際の動作デモが行われている。 本システムは、車両を設置する独自設計のモーションプラットフォーム、ロボットカメラクレーン、LEDウォールを組み合わせたもの。専用ソフトウェアツールのなかにデジタルツインを作成し、車両などが走行する際の動きや移動する背景、カメラクレーンの移動などをシミュレートしてから実行できる。 これにより、従来は牽引などして撮影していたシーンを、バーチャルプロダクションで撮影することが可能。さらに動作を確認できるシミュレーターも用意され、出演者が事前に動きを確認することもできる。なお、本システムは自動車だけでなく、バイク、船舶、飛行機などにも利用できるとのこと。 別のエリアでは、空間コンテンツ製作支援を行うためのソリューション「XYN(ジン)」を展示。物体や空間をスマートフォンとミラーレス一眼カメラを使って3DCG化できる「XYN空間キャプチャーソリューション」のデモでは、作成したCGを同社の空間再現ディスプレイを使って表示させていた。 またXYNについては、XR対応のヘッドマウントディスプレイ「XYN Headset」の試作品をケース内にディスプレイ。実際の見え方については、既存モデル「SRH-S1」を使ったデモが用意されている。 PXO AKIRAとXYNでブースの右半分が占められており、残りの半分については「IPの価値最大化」を紹介する展示を実施。アクションRPG『Horizon』シリーズの世界をレゴブロックで再現した『LEGO ホライゾン アドベンチャー』では、試遊だけでなく、実際のレゴブロックで作られたキャラクターも展示されている。 また、2025年に全世界で劇場公開される『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』をテーマにした体験として、ポスターに自分の写真が合成されるフォトブースも設置している。 そのほか、アドベンチャーゲーム『The Last of Us』をコンセプトにしたエンターテインメントも用意。映像・音響・ハプティクス・におい提示技術などを組み合わせ、ゲームの世界に没入する体験が行えるものだ。昨年のCESでは『ゴーストバスターズ』をテーマにした展示が行われたが、それをさらに発展させたような展示となっている。 残念ながら体験の様子は撮影不可。記者が体験した内容を簡単にお伝えすると、参加者はショットガンかフラッシュライトが渡され、それぞれゾンビを撃つ役割/暗闇でソンビを照らす役割に分かれる。暗い空間でゾンビが襲いかかってくるのを撃退するようなシナリオだ。 ゾンビの映像だけでなく、床の振動など没入感を高める技術が投入されているので、人によってはかなり怖さを感じそうだ。ちなみにショットガンもフラッシュライトも、本体に貼り付けられたマーカーを天井から読み取って映像に反映しているのだろう。狭い閉鎖空間ではあったが、他の参加者に重なっても映像に反映されるので、ストレスなくインタラクティブな体験ができた。 なおソニーは、ブース公開の直前にプレスカンファレンスを実施。ソニーグループ株式会社 社長 COO 兼 CFOの十時裕樹氏が登壇し、2024年5月の経営方針説明会で発表された、10年後のソニーのありたい姿を描いた長期ビジョン「Creative Entertainment Vision」につながる取り組みとして、ブースにも展開した「PXO AKIRA」と「XYN」を発表した。 またプレスカンファレンスでは、ソニー・ホンダモビリティが開発中しているEVの量産モデルである「AFEELA 1」が発表。本日からの予約開始がアナウンスされたことに加えて、価格が約9万ドルからになることも明かされた。 そのほか、ゲームIPの映像作品化や音楽アーティストとの共創といった取り組みを紹介。グループ会社であるアニプレックス、Crunchyrollの代表がそれぞれ登壇し、ゲーム『Ghost of Tsushima: Legends/冥人奇譚』をもとにしたアニメシリーズの制作やマンガアプリ「Crunchyroll Manga」の提供も発表された。
編集部:平山洸太