超☆社会的サンダル、新曲リリース後インタビュー「MVはみんなに幸せになってほしいなと思って撮った」
──オニザワさんのエピソードを聞いていると、こういう体験をしているからこそ、曲に繋がっているみたいな部分もあるのかなとも思いますよね。 林田 事件というか、心の動きをアートにしようというところはあるかもしれないですね。 ──この曲はギターリフが印象的ですけど、タケマスターさん的に、どんなことを考えてギタープレーはされているんでしょう? タケマスター 「チチンプイプイプイ」って、呪文のようなタイトルだなと思ったんですけど、割と歌詞は泥臭くてはかない恋愛の曲で。そういう綺麗さ、はかなさ、泥臭さ、でも魔法のようなファンタジーの感じも混在したようなギターを弾こうと思って弾きました。 ──林田さんのルーツ音楽はニューオリンズスタイルのジャズということで、超☆社会的サンダルの音楽性はまた違うと思うんですけど、ドラムを叩くにあたってどのように折り合いをつけているんでしょう。 林田 別にやりたくないことをやっている感じは自分の中ではないというか。面白え! と思ってやっているので。普通のロックドラマープラスアルファみたいなことはちょっとしてるつもりでいて。オニザワさんにそこを気に入ってもらっていると思うので、このバンド向けのプレーをしなきゃみたいなことは、そんなに考えていないかもしれないですね。割とこういう取材では、オニザワさんが素晴らしいので、オニザワさんと愉快な仲間たちで全然オッケーみたいな気持ちではいるんですけど、プレイに関しては、めっちゃ喧嘩を売ろうと思って。全員殺そうみたいな感じで、俺が一番目立ってやるぐらいの気持ちではありますね。 オニザワ 全員、ちゃんとプレイに物語性があるよね。 林田 確かに。やっちゃおう! ってか、我慢しなきゃとかあまり考えたことはないですね。 ──そして3曲目の「フランス料理」。これはどういうタイミングで作った曲なんでしょう。 オニザワ これはだいぶ前に作った曲で。タケマスターや林田さんが入る前から存在していた曲です。 林田 元々弾き語りというか、オニザワさんがソロでやっていた曲で。 オニザワ 六本木のスナックで働いていたとき、常連の元AV男優のおっさんが、何年前に俺の妹が死んだっていう話をしだして。そういうシビアな話のときって、女の子側はあまり話に入れないんですよ。そのときにポカーンってしながら、うちの最寄りのTSUTAYAがなくなった年だなと思って。スナックの帰り道、そこから書き出して、結構時間をかけて、小説みたいに書いていきました。あと、〈スナックの常連のお爺ちゃんのハッタリを信じて ビニール傘なんて綺麗なの取ってったもん勝ちじゃんねー〉とか、自分が過ごしてた生活の中でなんだろう? と思った言葉を全部書き留めて。歌詞を書いているタイミングで、当時付き合っていた嘘つきの男から「いつかお金持ちになって、フランス料理に連れてったるわ」みたいなこと言われたんですけど、いや、私は別にフランス料理じゃなくて、サイゼリヤでもなんでもよかったんだけど、と思って作ったんです。あんたがいれば別にフランス料理じゃなくてもよかったのになと思って書いた曲です。 ──音源の冒頭はライブ音源ですが、これはいつの音源なんでしょう? オニザワ 制作のATフィールドの青木さんが撮っていた動画から抜き出した音です。 林田 下北沢SHELTERのライブ(※2024年3月22日(金) 開催、『超☆社会的サンダル レコ発ツーマン企画「漂☆流」』)だよね。アレンジを考えるときに、レコーディングした音源はどう? みたいな。アカペラでやるかとか、弾き語りでやるかとか、アコギでやるかとか、いろいろ案があって。 オニザワ 試しにやってみたらライブ音源がハマったんだよね。 ──タケマスターさんは、「フランス料理」に関しては、どんなことを思いますか? タケマスター オニザワさんもさっき話していたように、僕が入る前からある曲で。オニザワさんと初めて会ったか、数日経ったぐらいにその曲を知って。バンドではやらないけどこういう曲もあるんだ、いい曲だなと思っていたので、ついにか! みたいな気持ちがありました。本当に満を持してっていう感じで、自分もお! って感じでした。 ──林田さんは、どうですか。 林田 アレンジをし始めた最初は、もっと無法地帯みたいな感じになるかと思ったんですけど、色々話し合いをしていくうちに、ストレートな感じの今の雰囲気になって。ライブごとに味わいが違うというか。オニザワさんがその日思ったことを言えるアレンジになったと思います。レコーディング音源は1番定まったことを言っているんですけど、それもストレートに味わえていいのかなって。前作のミニアルバムの中に「薬を飲んでも」って曲があって。それも割とオニザワさんの弾き語りをフィーチャーして、バンド編成にしているんですけど、そことはまたちょっと毛色が違う。ライブでどっちも一緒にやることは少なくて、バラードの曲どっちか1曲ってなっているんですけど、どっちを選ぶかでライブの雰囲気も異なるので、面白いなと思ってます。