野島氏監修の「明日ママ」 可視化された批判の声
日本テレビのドラマ「明日、ママがいない」。児童福祉施設を舞台にしたドラマに多くの批判が集まっています。主人公は芦田愛菜演じる「ポスト」。「赤ちゃんポスト」に預けられたために「ポスト」というあだ名をつけられた子です。そんなドラマに、実際に「赤ちゃんポスト(正式には「こうのとりのゆりかご」)」を設置している病院や児童福祉関係者らが抗議の声をあげ、大きな注目を集めています。全国児童養護施設協会はこうした抗議の声をあげるのは初めてということです。
児童福祉施設の描写で賛否
ドラマのホームページでは、イントロダクションに「今、君の隣にママはいますかーー?」と書かれています。「このドラマは『愛すること』『愛されること』は何かを、子どものたちの目線で問いかける」とあり、「21世紀で一番泣けるドラマ」と締めています。なぜ隣にいないのが「ママ」でなければならないのか? というジェンダーの問題がありますが、問いそのものは興味深いものでしょう。 第1話は、グループホームに入所する「ドンキ」(母親が彼氏を鈍器で殴ったことで逮捕されたことで付けられた、鈴木梨央)の目線で描かれています。児童福祉施設・グループホーム「コガモの家」の施設長・佐々木友則(三上博史)は、施設の子どもたちに対し、暴言や体罰を繰り返し、「魔王」と呼ばれ恐れられています。その「魔王」は食事の際、「泣いたら、ご飯を食べていい」、「お前らはペットと同じ」などと暴言をドンキやポストたちに繰り返します。水の入ったバケツを両手に持たせ、お風呂に立たせるという体罰もしています。施設はまるでお化け屋敷かのよう雰囲気で、こうした児童福祉施設が21世紀の現在にはあるとは思えない描き方でした。 第2話ではパチンコ依存の母親に炎天下で放置されて、命の危機があった「パチ」(五十嵐陽向)が新しい里親候補との関係を深めるのを躊躇しているとき、魔王はきつい言葉で「早く新しい飼い主に慣れろ」としかります。母親を忘れられないパチは、母の臭いを感じされるシャンプーボトルを手放せない。そのボトルを里親候補はゴミ箱に捨てるのです。冷たい施設長と虐待しかねない里親の登場は第1回目と同じです。