6人家族の食事「平等に分ける」が正解でもない訳 「ドン・キホーテとユニクロ」売り場の決定的な差
両親と4人姉妹の6人家族。食事の際にはおかずやデザートが奪い合いになりそうな光景が目に浮かびます。お互いに揉めないように家族6人誰もが納得するためには、「平等に分ける」だけが正解でもありません。 コクヨのワークライフスタイルコンサルタント・下地寛也さんの著書で生活の中におけるさまざまな「しにくい」を、「分ける技術」を使って「しやすい」に変えることを探った『「しやすい」の作りかた』より一部抜粋、再構成してお届けします。
■果物は取り分けて出すか、大皿で出すか 私には娘が4人いる。すでに長女、次女、三女は成人していて、四女は中学3年生。その娘たちが子供時代の話だ。我が家の食事は唐揚げやハンバーグ、リンゴ、ブドウなどは、大皿で出てくることが多い。6人家族なので、油断していると自分の分がなくなってしまう。 問題は、長女や次女は食べるのが速いため、三女や四女が不利になることだ。 リンゴやブドウなどは、数を数えて分けたほうがいいかと思ったが、それも面倒なので、大皿でまとめて出すことを続けていた。そのため、ちょっとしたケンカが起きることもあった。
しかし、しばらくすると、あることに気づいた。子供たちの「調整能力」が養われてきたのだ。ある日、幼稚園児だった四女が、みんながリンゴに手をつける直前に、 「何個まで食べていいの?」 と聞いてきた。交渉上手の彼女が先手を打ったわけだ。 手巻き寿司をするときでも、子供同士で、 「これはあげるから、こっち3つもらっていい?」 「う~ん、どうしようかな……」 などと交渉している。 三女はサーモンが好きだが、長女はそれほどでもない。
四女は海老しか食べないが、次女はなんでも食べる。 そんなお互いの特徴を理解して、食べる種類と数を相談するようになったのだ。 結果的に長女は場を仕切るリーダーシップを覚えたし、三女と四女は年上の人と交渉ができるようになった。 何事も分けておいたほうが平和に済むという考え方もあるが、分けずにおくことで自律的に考え、調整する力がつく場合もある。ここでも大切になるのは「目的」だ。「食べやすい」を目的にするなら事前に分けておいたほうがいいし、子供たちが「成長しやすい」を目的にするなら大皿で出して一人ひとりが主体的に考えるようにしたほうがいいわけだ。