プロに教えてもらう器使いの極意と御用達ショップ【料理人、ヤマモトタロヲさん】
盛り付けのセンスが光る食のプロに、器使いの極意や御用達の器ショップを教えてもらう連載「あのひとの器ライフ」。第5回目は料理人のヤマモトタロヲさん。国や時代を越えてコレクションしたおしゃれな器の収納術と、ホムパに役立つ卓上演出をご紹介。『エル・グルメ』No.31号掲載。
‟素材、サイズ、色が 器使いと収納の着眼点”
ビストロにカフェ、ベトナム料理に洋菓子、イタリア菓子店。次々に異ジャンルの店を開業しヒットさせ、食のシーンを作ってきたヤマモトタロヲさん。料理や菓子の味に加え、店の空間づくりにも定評があり、 “ヤマモトブランド” の店を回遊するファンを増やし続けている。 築六十余年のマンションをリノベーションしたというご自宅にお邪魔すると、「アイデアの源泉はここに!」という楽しさ、居心地とセンスのよさ。美大で建築を学んでいた頃から30年近くかけて集めてきた国も時代も異なるモノたちが、ひとつ屋根の下でそれぞれの世界と時代の軸を作り、層を成している。 膨大なコレクションから、卓上に脈絡のある美しさを導き出すのが、素材やサイズへの着眼点だ。 「例えばガラス。クグロフ型や花瓶もボウルとして使うし、ヴィンテージのグラスは器にも。フルーツポンチが華やかになり子どもたちが喜びます」 つい食器棚の奥に眠りがちになる猪口(ちょこ)や豆皿などの小さな器で、おばんざいの盛り合わせを作ることも。 「ホームパーティー時の持ち寄りつまみなんかを、さっと出すのにも便利。作家ものに、ヴィンテージのカヌレ型やソンベ焼きも交ぜて、遊んでいます」 器使いや卓上の演出で食べる人を楽しませる工夫は、店だけでなく家庭でも、ということだ。 収納も技あり。使用頻度の高い家族用の食器はキッチン内の棚に、おもてなしの器はリビングとの境の低い棚に。ユニット式のウォールシェルフには、鑑賞も楽しみたい器やアートピースが並ぶ。ここでのカギは、色。色ごとにまとめることで、壁一面がグラフィカルになり、国も時代も異なるプロダクトの親和性も浮かび上がるのだ。