経産省、JMS2024でモビリティDXローンチイベント 上月良祐経産副大臣と伊吹英明製造産業局長が日本のSDV戦略を紹介
■ JMS2024で行なわれた「モビリティDXプラットフォーム」ローンチイベント ジャパンモビリティショー2024が10月15日~18日の4日間にわたって、幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区)でCEATEC2024と併催されている。3日目の17日には、経済産業省、国土交通省、自動車技術会により「モビリティDXプラットフォーム」ローンチイベントを実施。経産省と国交省が2024年5月に策定した「モビリティDX戦略」の実現へ向けてスタートを切った。 【画像】モビリティDXの概略について語る経産省 伊吹英明製造産業局長 イベントは、オープニングに上月良祐経産副大臣がビデオレターを寄せ、伊吹英明製造産業局長がプゼンテーションを実施。識者のディスカッションの後、国交省 鶴田浩久物流・自動車局長がクロージングのあいさつを行なった。 本記事では、オープニングの上月経産副大臣のビデオレター、伊吹製造産業局長のプレゼンテーションをお届けする。 ■ 上月経産副大臣はビデオレターであいさつ ビデオレターを寄せた上月経産副大臣は、自動車産業においては電動化に加えSDV、いわゆるソフトウェアデファインドビークルや自動運転の技術開発が急速に進展していると説明。「新たな技術を通じて安全で便利な交通社会が実現するとともに、移動の枠を超えて、金融、エンタテイメント、エネルギーなどさまざまなパートナーと連携して新たなモビリティ産業の創出につなげていかなければならない」と語る。そのような状況のなか、高度なソフトウェア開発力を持つ海外の事業者が積極的に取り組んでいることに、強い危機感を示した。 また、石破総理の所信表明演説にもふれ、「地域交通は地方創生の基盤です。全国で『交通空白』の解消に向け、移動の足の確保を強力に進めます」との石破総理の言葉を紹介し、地域交通の課題の早急な解決が必要であるという。 経産省と国交省はこのような課題を解決しつつ、自動車産業のDX分野での競争力を高めていくため、モビリティDX戦略を策定したと紹介した。 ■ 新たに3つのことを明らかにした伊吹製造産業局長 モビリティDX戦略の概略については、伊吹製造産業局長が紹介。伊吹局長は自動車産業のGXとDXの課題を提示し、さらにモビリティDXにおける世界の動向を説明。SDVの構成要素と協調領域・競争領域を図示した。 その上で5月に策定したモビリティDXの概要を、SDV領域、モビリティサービス領域、データ利活用領域の3つに分けて説明。2030年以降、グローバルでSDVの日系シェア3割を目標としていることを語った。 ここまでは5月のモビリティDX戦略発表時にも明らかになっていることだが、今回3つの新しい取り組みを紹介した。 1つは、このローンチイベントのテーマとなっているモビリティDXプラットフォームの立ち上げ。SDVのグローバル目標3割、つまり海外勢と対抗していくためスタートアップや異業種、アカデミア、自治体などと協業できる協調領域であるモビリティDXプラットフォームを用意する。これにより、新たなイノベーションの創出、ソフトウェア人材の確保、地域での新たなサービスの早期実装を目指していく。 もう1つは、SDV時代へ向けてのソフトウェア人材の確保。SDVではソフトウェア人材がさらに必要となるが、その認知を向上し、スキル標準を策定、育成講座の提供を行なうことで、ソフトウェア人材の確保を抜本強化するという。 最後にAPI標準化を通じたSDV市場の活性化。SDVではさまざまなAPIを定義していくことが必要となるが、その標準化を目指していく。自動車メーカーが中心となるJASPARにおいてボディ系のAPIを、Open SDV Initiativeでサードパーティなども参画して自動運転などの車両制御系やサービスアプリ系APIの検討を開始する。APIを整備することでソフトウェア開発を活性化し、各国自動車OEMとの連携も図っていこうとしている。 伊吹氏は、これらの新しい取り組みも通じて、SDV開発を加速していくとともに、ロボタクシーなど日本で追いついていない領域へのキャッチアップを図っていくための道筋を示した。
Car Watch,編集部:谷川 潔