ベンチャー発、独立志向のホンダ 財閥ルーツの日産は外資と連携 対照的な両社が統合協議
■「スーパーカブ」で飛躍
一方のホンダは、本田宗一郎が1948(昭和23)年、浜松市に設立した従業員34人の町工場「本田技研工業」からスタートした。58年には使いやすく燃費性能が高いオートバイ「スーパーカブ」を投入。同社が成長する契機となり、2017年までに世界で累計1億台を販売するベストセラーとなった。
技術に詳しい本田と、経営面から本田を支える参謀役の副社長、藤沢武夫のタッグで、ホンダは急成長を果たす。軽四輪トラックを発売した後、本格的な四輪車事業に進出。67年にコンパクトながら車内空間確保に配慮した低価格の小型車「N360」を発売し、マイカーブームの火付け役となった。また、厳格化された米国の排ガス規制を世界で初めてクリアした低公害エンジン「CVCC」の開発に成功し、搭載した「シビック」も日米で大ヒットした。
モータースポーツにも積極的だった。59年に初出場した二輪車のマン島TTレースでは、61年に125ccと250ccで1~5位を独占。F1では88年、アイルトン・セナらを擁するマクラーレン・ホンダが16戦15勝と、圧倒的な成績を上げた。
■自動運転の提携解消
ホンダは2018年、小型ジェット機「ホンダジェット」の販売を開始。22年には電気自動車(EV)の開発に向けて、ソニーグループとの共同出資会社を設立している。
世界首位の二輪車事業が業績を支える一方、四輪車事業の利益率の低さが指摘されてきたホンダ。これまでは、自動車メーカー同士の合従連衡とは無縁な独立志向の強いメーカーとして知られてきた。2020年に米GM(ゼネラル・モーターズ)と北米で販売するEVの共通化などで合意したが、量販モデルEVの共同開発を中止。GMが自動運転タクシー事業からの撤退を発表したことを受け、自動運転分野での提携も解消した。