定例記者会見で陳謝する木村知事

　熊本県の観光支援事業「くまもと再発見の旅」（県民割）を巡って不名誉に社名を公表された業者に対し、木村知事は10日、定例記者会見で「県の対応の問題で今回のような事態となったことにおわび申し上げる」と陳謝した。県は不適切受給があったとして2社を公表したが、県が設置した第三者調査委員会は4月、「不適切受給はなかった」と結論づけ、業者の名誉回復措置を講じるように求めていた。 【写真】熊本県の県民割助成金で「県幹部の見逃し指示」確認できず

　事業を巡って県は昨年3月、計14社が不適切受給に関与したと発表し、それまでに2社の社名を公表していた。助成金については、1社は約1500万円、残る13社は事業の窓口となった会社が代表して約3000万円を返還している。

　一方、外部からは不適切受給に加え、県幹部が一部を見逃すよう担当課に指示したとの指摘があり、県は弁護士らで構成する第三者委に調査を依頼。第三者委は4月、不正や見逃しの指示はなく、「県が助成要件や周知状況を検証せずに不適切受給を断定した」と結論づけた報告書をまとめた。

　報告書は業者の名誉を回復するようにも求めており、県は業者側と協議を開始。社名を公表された2社との協議で知事による会見の場での謝罪、ホームページへの謝罪文の掲載を実施することになり、残る12社も対応を了解した。謝罪文は、2社の意向を踏まえて社名を匿名とした。

　県は今後、関係者の処分についても検討する。