米PPIは予想に反して加速、卵急騰-PCE価格項目は伸び抑制
(ブルームバーグ): 11月の米生産者物価指数(PPI)は、市場予想に反して前月比での伸びが加速した。卵価格の急騰が影響した。ただ、米金融当局が重視する個人消費支出(PCE)価格指数の算出に使われる項目は、総じて伸びが抑制された。
11月は前月比の伸びが6月以来の大きさとなった。前年同月比では2023年の早い時期以来の大幅上昇。
変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPPIは前月比0.2%上昇(市場予想0.2%上昇)、前年同月比では3.4%上昇(予想3.2%上昇)だった。
エコノミストがPPIに注目するのは、いくつかの項目がPCE価格指数の算出に用いられるためだ。これら項目のうち、病院での診療や介護施設でのケアサービス、在宅医療といったヘルスケア分野は、上昇率がほぼ横ばいにとどまった。ポートフォリオ管理サービスと航空運賃は低下した。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)のエコノミストらは、この日のPPIと前日の消費者物価指数(CPI)を受け、20日に発表される11月のPCEコア価格指数を前月比0.1%上昇と予想。予想通りとなれば、6カ月ぶりの低い伸びとなる。
BofAは「当社の予測が正しければ安心材料となり、このところのインフレ軌道に関する懸念も和らぐ」と、リポートで指摘。その上で「とはいえ、その先の見通しは不透明なままだ。物価抑制の進展は最近停滞しており、インフレ上振れのリスクもある」と述べた。
財の価格は0.7%上昇と、2月以来の大きな伸び。発表元の労働統計局は、その80%余りが食品価格上昇によるものだと説明した。卵の価格は前月比55%上昇。主として鳥インフルエンザの影響を受けた。食品価格全体では3.1%上昇と、2年ぶりの大幅上昇を記録した。
一方でサービス価格は0.2%上昇と、4カ月間で最も低い伸び。食品とエネルギーを除いた財価格も0.2%上昇となった。
この日別途発表された米新規失業保険申請件数は、ホリデーシーズンを控えてデータが触れやすい中、2カ月ぶりの高水準となった。