子どもへの“がん教育” がん患者のリアルな声を聞いてほしい 北海道がん対策基金が小学校授業
HTB北海道ニュース
2人に1人ががんになると言われるいま、学校でのがん教育が必修化されているのをご存じでしょうか?子どもの頃から健康への関心を高めようと、2020年度から段階的に行われていて、がんに立ち向かうための知識を学んでいるんです。 東京大学大学院・中川恵一特任教授 「早期がんであれば9割以上完治します。したがって相当制御可能な病気ということになります。知ることで克服できるなら知ったら良いんですよ」 12月17日、札幌で行われた北海道がん対策基金の10周年記念フォーラムです。 放射線治療の専門家やがん経験者らが、がん教育の重要性を訴えました。 北海道がん患者連絡会・柴田直美さん 「知っているのと知らないのとでは大きく変わってくるので、孤独感や病気に立ち向かうための力を病気になる前から育てていけたらいいなと思っています」 北海道がん対策基金は企業からの寄付などを財源として北海道が中心となって設立されたもので、がん教育の講師料や交通費のほか、講師を育成する研修などに充てられています。 齊藤文子さん 「私のがんは初期ではなく、かなり進んだ進行がんであると伝えられました。もうその時は本当に私は絶望感でいっぱいでした。初めて死を覚悟する瞬間でもありました」 札幌市内の小学校で行われた、がんの経験者による授業です。 いま、小学校の学習指導要領には、がんに触れることが明記されていて、中学・高校ではがん教育が必修となっています。 講師を務めたのは札幌の齊藤文子さんです。7年前に大腸がんを発症しましたが、手術とおよそ2年にわたる抗がん剤治療を経て完治しました。2年前から自分の闘病を語る活動を始め、家族の支えや前向きに生きる大切さなどを伝えています。 受講者は 「つらい思いばっかりだと思っていたけど、それでも楽しさとかがあることを知って、早期で見つけたほうが良いと分かりました」 「齊藤さんのお話を聞いて、改めてがんは遠い存在じゃなくて身近にあると感じました」 国はがん教育の授業で、がん経験者や医療従事者を外部講師として活用することを推奨しています。しかし、道内の活用率は小中高校全体のわずか9%に留まっています。その理由について学校へのアンケートでは「時間が確保できなかった」などの回答とともに「講師への謝金などの経費が確保できなかった」という声も寄せられています。北海道がん対策基金を活用すれば経費面の悩みを解決することができますが、学校側の利用が少ないのが現状です。 齋藤さんは、がん経験者が直接話すことに意味があるとを話します。 齊藤文子さん 「元気な私の姿を見てもらうことができるので、より一層がんに対する興味も深く、自分事のように感じてもらえるんじゃないかと思います」
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