【大学野球】早慶戦で本塁打を放った清原正吾 「達成感」に聞こえるコメントの一つひとつ
清原は今年8月末、東京六大学オールスターのメンバーとして出場した日本ハム二軍戦(エスコン)で本塁打を放った。大舞台での強さの秘訣を問われると、こう言った。 「父親のDNAですかね!!」
1球1球かみしめながら
清原はプロ志望届を提出していたが、10月24日のドラフト会議で、名前は呼ばれなかった。独立リーグら多くのチームからオファーが届いているが、今後の進路については封印し、早慶戦だけに照準を合わせてきた。 「ドラフトで漏れて、残すは早慶戦。ポジティブに切り替えて、ここまで育ててくれた方への感謝の気持ちだけでこの2週間、練習をやってきました。僕のすべてを出し切ろうと、調整してきた。(この日ですべてを出し切れた?)少しは、報われました。明日も引き続きチームの勝利に貢献したいと思います」
4年間、指導してきた堀井監督は「今までで一番、活躍した試合。明日はもっと良い活躍をしてほしい。いつ、ホームランボールが回ってくるのかな……」と、報道陣を笑わせた。早大の胴上げは、見たくない。慶大が早大2回戦で勝てば、早大と明大は同率となり、優勝決定戦へともつれ込む。清原は早慶戦で勝ち点奪取のために、バットを振る。早慶戦前日に「今の感情」について、こう語っていた。 「緊張も、寂しさというのはまったくなくて、最後の最後、後悔なく終われるように、自分のすべてをかけて、体がボロボロになる覚悟で、1打席1打席、1球1球かみしめながら全力プレーをする。(家族には)僕の最後の雄姿を、目に焼き付けてもらいたいです」 慶大卒業後も、野球を続けるのか……。清原は明言こそしていないが、学生野球は今秋が一区切り。中学、高校で野球経験のない選手による、過去に例がない挑戦。6年の空白を経て、清原が白球を追ったの は、家族が喜ぶ顔を見るのがモチベーションであった。清原はたくさんの「奇跡」を起こした。コメントの一つひとつが「達成感」に聞こえる。野球人生の「集大成」と位置づける早慶戦なのか……。身を粉にしてプレーする姿が長男としてのつとめ、大好きな家族への恩返しになる。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール