タイヤ脱落事故はなぜ起こる? タイヤ交換1か月後に必ず点検が必要な理由とは
乗用車の車輪脱落(タイヤ脱落)による事故報道が相次いでいる。国土交通省が発表しているデータをもとに、タイヤが脱落しやすい条件や、今すぐできる点検方法について解説する。 【画像】タイヤ脱落事故が最も発生する地域はどこ? 正解はこちら!
冬期にタイヤ脱落事故が増える理由とは?
11月14日に北海道札幌市で軽乗用車のタイヤが脱落し、70m先の歩道を歩いていた女児に直撃するという痛ましい事故が起きた。また、同じく11月17~29日にかけても道内で複数のタイヤ脱落事故が起きている。そこで今回は、国土交通省が発表している大型車のタイヤ脱落事故に関するデータをもとに、一般乗用車にも共通するであろう注意事項や自分でできる点検方法を紹介する。 ■冬期にタイヤ脱落事故が増える理由 国土交通省の調べによると、ホイール・ボルトの折損等による大型車の車輪脱落事故は2002年4月から2022年3月末までに1188件発生しており、2018~2022年まででは、11月~1月にかけて事故発生が集中している。 まず、タイヤ脱落事故の時期的な要因として挙げられるのが、冬用タイヤの交換後であるということだ。北海道での事故報道が多いのはこの冬用タイヤの交換時期が早いことが原因であり、12月になると本州での事故が増え始めることになる。
左後輪が脱落しやすい?
次に、どのタイヤが脱落しやすいかについても確認しておこう。タイヤの脱落は「左後輪」に集中する傾向にある。国土交通省がまとめた各自動車メーカーからの報告によると、2022年度のデータでは、右前輪が2%、右後輪が3%、左前輪が1%、そして左後輪が94%と極めて偏っており、これは過去3年間においても同様の結果が出ている。では、なぜ左後輪が脱落しやすいのか。 ・進行方向に回転するタイヤ対し、左側のタイヤはナットが緩む方向に力が働いている。 ・道路の形状は道路脇に排水するために中央が高くなっているため、左側がわずかに低くなり、左側走行である日本では左のタイヤに負荷がかかりやすい。 ・左折時は旋回が小さくゆっくり進むため、左後輪タイヤがねじれて負荷がかかる。 ・右折時は加速して遠心力が生まれるため、左後輪タイヤに負荷がかかる。 このような条件が複雑に作用していると考えられている。ただし、直近の北海道のタイヤ脱落事故においては左前輪や右前輪が脱落しているため、乗用車の場合はまた違う要素が絡んでいる可能性もある。