熊本市役所本庁舎「桜町」へ移転建て替え 大西市長が議会に提示 中央区役所の分棟候補地も
熊本市の大西一史市長は24日の市議会特別委員会で、耐震性能不足が指摘されている市役所本庁舎を中央区手取本町の現在地から移転し、桜町の大型商業施設「サクラマチ クマモト」に隣接するNTT西日本「桜町ビル」の敷地(9987平方メートル)に建て替える案を正式に提示した。 中央区役所は、景観やまちづくりの観点から本庁舎と分け、現庁舎隣の市駐車場の敷地か、花畑町別館跡地のどちらかに建設する意向を示した。 市は8月中に本庁舎と区役所の建設地を決め、設計関連予算を9月市議会に提案する方針。本庁舎の完成時期は示さなかったが、調査・設計などに3~4年、建設工事にその後約4年を見込んでいるという。 市は3月に公表した基本構想素案で、建て替え候補地を現庁舎敷地周辺、城東町の日本郵便九州支社、桜町のNTT敷地、草葉町の白川公園の4カ所とした。市はこのうち地権者の意向と防災面などから城東町と白川公園を除外。現庁舎と桜町に絞り込んで交通の利便性や災害リスク、事業期間などを検討した。
大西市長は特別委で、桜町案について▽バスターミナルが近く、交通利便性が高い▽水害時の浸水深が浅く、浸水の継続時間が短い▽事業期間が10年短い-などの利点を挙げた。 概算事業費を中央区役所の合築を前提に試算した場合、桜町は約597億円で現地建て替えの約581億円を上回った。だが、合併推進債の活用や現庁舎跡地の売却収入を考慮すると、市の負担額は桜町で約243億円、現地建て替えは約365億円になるとした。 素案では、概算事業費を現庁舎の解体費と新庁舎の設計・建設費で470億円とし、合併推進債活用で市の負担は294億円としていた。今回は土地取得費と駐車場整備費などを加算した。 現庁舎の敷地面積は1万377平方メートルで、桜町のNTT敷地とほぼ同じ。 中央区役所に関しては、新庁舎と合築すると市景観計画の高さ基準(海抜55メートル)を大幅に超え、熊本城への眺望を含む景観を阻害する可能性があると判断。来庁者らが回遊するエリアを広げるためにも、分棟が望ましいとした。2カ所のどちらを適地とするかは7月の次回特別委で示す。