「ますます特典航空券がとれなくなった」JALルール変更から10ヵ月…マイル「修行」に起こった変化
マイル「修行」ブームに陰り……ルール継続のANAに人気集中
’24年1月より、JALのマイル「修行」が事実上終了した。そのため、ルール継続のANAに人気が集中し、特典航空券が予約困難となるなど、今までの利用者から不満が続出しているという。 【絶滅危惧…!?】2日で16回搭乗! 飛行機にひたすら乗り続ける「修行僧」の世界 この修行とは、厳密にはマイルをコツコツ貯めるのでなく、ステータスアップ用のポイント獲得のために必要以上に飛行機に乗ることで年間の搭乗実績を積み、上級会員の資格(ステイタス)を得ることを指す。特に、ANAでは「スーパーフライヤーズカード(SFC)」、JALでは「JALグローバルクラブ(JGC)」に入会することができ、空港で優先チェックインや優先搭乗、航空会社ラウンジが利用できるなどメリットが大きい。 SFC、JGCの入会資格を得るには、年間50回程度の搭乗実績がこれまで必要だった。ただ一度到達すれば、その後はそのカード年会費を支払い続ければ半永久的にその特典が受けられる。そのため、たった一度その修行をし、ずっと維持し続けるだけの人も実際多い。 ◆50回搭乗が300回に!? JALが今年からルール変更した「JGC入会条件」詳細 JALがルール変更したのは、「JGCの入会条件」。これまでの年間搭乗実績のみでの条件をやめ、新たに『JAL Life Status(JALライフステイタス)プログラム』を開始した。これによると、搭乗実績に加えてJALカードや「JAL Mall」など航空系サービスの利用でもたまる「Life Status(LS)ポイント」の合計ポイント数が、入会の基準となった。 JGCの入会条件は1500ポイント以上。JALグループの国内線1回=5ポイントなので、搭乗実績だけだと300回が必要となる計算だ。昨年末まで50回で到達できていたのが300回となると、同じペースだと6年がかり、費用もその分かかるわけで、いわばハードルが上がった。 実際、今年に入り、JGC修行という言葉を聞くことがめったになくなった。今も修行しているのは、継続となった年間実績でステイタスが決まる「FLY ON プログラム」のダイヤモンド/JGCプレミアを目指す人たちのみで、これは毎年修行が必要であることから、その数はJGC修行と比べるとかなり少ない。 ◆ANAは「特典航空券が取れない」「電話がつながらない」現状 一方、ANAでは、SFCの入会ルールは今までのままだ。そのため、今年から航空会社の上級会員資格を得るために修行しようとする人たちが、ANAに集中する形となっている。 ANAでは最近、「特典航空券が予約しづらい」という声をよく耳にする。特に、年末年始や大型連休といった時期は、まさに予約競争となっている。 SFC修行による搭乗実績が貯まると同時に、ANAのマイルも貯まる。しかも、コロナ禍で貯まったマイルの消化リミットもある(ANAのマイルは3年)。コロナ禍で海外旅行ができなかった分、欧米などの国際線長距離線かつビジネスクラスなどの上級クラスに、その人気が集中する。さらに、インバウンド人気で国際線の航空運賃は高止まりし、特にビジネスクラスなどは欧米往復だと100万円ほどすることもある。 加えて、上級会員が増えすぎたことで、ANAラウンジの混雑が常態化しているだけでなく、保安検査場の優先レーンも一般レーンのほうが早かったり、優先搭乗に長い列ができたりも。 筆者はSFC、JGCとも保有して両社とも利用するが、以前からANAラウンジのほうがいつも混んでいる印象だ。ANAで、電話で予約変更などしたくても、今はその電話がなかなかつながらないのも、ヘビーユーザーの間でよく知られている。