SNS時代になぜ高校生たちは「ラジオ」を選んだ? 校内放送で在校生からの恋愛相談、お昼の学校を盛り上げる
パーソナリティーは生徒会の正副会長
長野県駒ケ根市の赤穂高校の昼休みに、ラジオに見立てた校内放送で生徒会の情報などを発信する番組「あかラジ」が始まった。パーソナリティーはいずれも2年で生徒会長の堺沢七音(さかいざわなおと)さん(16)と副会長の木下暁道(としみち)さん(16)。毎週金曜昼の約10分間、生徒の相談や生徒会の活動をユーモアを交えて紹介し、生徒らを楽しませている。 【写真】甘栗を使ったドリンクの商品開発に取り組む赤穂高校の生徒たち
生徒からの相談に助言
「今回はクリスマススペシャルでお送りします」。13日午後0時15分、同校放送室。クリスマスソングをBGMにして3回目の放送が始まった。最初の話題は「クリスマスまでに彼女が欲しい」という生徒からの相談。木下さんは「ぼっち(独りぼっち)でも楽しく生きればいい」と助言し、堺沢さんは「僕から言わせてもらうと優しさが一番。頑張ってください」と応じた。
その後も明るいトーンの木下さんと冷静な堺沢さんの会話は続き、新聞委員会が発行した新聞の紹介などさまざまな情報を発信した。
「ラジオ放送」に目を向けたワケ
「あかラジ」は、あまり知られていない生徒会活動についての発信を強化する狙い。交流サイト(SNS)を利用する手もあったが、アカウントの有無や閲覧の頻度によって情報格差ができる懸念があり、全校に呼びかけられる「ラジオ放送」に目を向けた。堺沢さんが生徒会長に立候補した際の公約でもあった。
中学時代から
2人はともに赤穂中学校の卒業生。木下さんは中学で放送委員長を務め、給食の時間の校内放送で生徒の悩み相談に乗っていたという。人前で話すのが好きで、昼時を盛り上げたいと自ら企画。週1回、1人で全校に語りかけていた。
「とし君(木下さん)は校内の有名人で、自分も楽しみに聞いていた」と堺沢さん。当時の姿が印象に残っており、高校生になって同じように生徒会の役員を目指す木下さんに協力を申し出た。木下さんは「(中学時代に)1人で話していた時との違いを体験したい」と二つ返事で誘いを受けた。
タレントのラジオ放送を聞いて勉強
新生徒会が発足した11月に始動し、魅力的な番組作りに向けてタレントのラジオ放送を聞いて勉強中だ。新企画を着々と準備中といい、来年は委員会や部活の代表者をゲストに招く他、学校行事で生放送に挑む構想もある。
リスナーの反応を励みに
周囲の反応は上々だ。「あまり話したことがない人から『楽しみにしているよ』と言われると頑張ろうという気になる」と堺沢さん。正副会長はリスナーの反応を励みにしながら、今日も校内を盛り上げるためのネタを温めている。