都議選目前、政務活動費60万円は全国トップでも改革は下位の都議会の課題
地方議会の議会改革度を調べている早稲田大学マニフェスト研究所は8日、23日に選挙告示が迫った東京都議会の議会改革状況を取り上げた最新の調査結果を発表した。都議会は、政務活動費と事務局員数、女性議員の比率が全国最多である一方、都道府県別ランキングでは36位にとどまり、「議会活動の環境は充実しているものの、改革がまったく進んでいない」現状が明らかになった。
議員1人あたりの政務活動費月60万円
調査結果によると、都議会は議員の女性比率2割、議員1人あたりの政務活動費月60万円が全国で最も多くなっている。また議員活動を補佐する議会事務局数も2位の1.8倍にあたる141人と全国トップで、全地方議会の中で恵まれた活動環境にあることがわかった。 しかし、同研究所の「情報共有」「住民参加」「機能強化」のそれぞれ観点別に評価をみていくと、「情報共有」は本会議や予算委員会の公開は進んできたものの委員会の動画や議員の賛否結果の非公開など47都道府県中21位。 「住民参加」は請願・陳情者の意見陳述、住民との直接意見交換の場がなく、同32位。特に「機能強化」は議長選挙がなく、議員提案条例や修正案の提出もないなど、観点別評価でも最も低い同40位となり、総合ランキングの結果は前年度の35位よりひとつ下げた36位となっている。
都議選は「政局ではなく、都民に必要な存在となるか」
同研究所の中村健事務局長は、これらの結果に対し、都道府県ランキング1位の大阪府議会、同2位の兵庫県議会を例に「議員の不祥事や強力な首長の力に直面し、地域にとって議会はどうあるべきかを再度捉え直して、議会改革を進めた。特に顕著なのは、若い世代との対話やシティズンップ教育への関わり」とする。 都議会については「7月の都議選では、政局ではなく、いかに議会が都民にとって必要な存在となるかが問われる。小池知事が誕生し、スピード感を持って議会改革がさらに行われることが望ましい。都民に開かれた説明責任を果たせる議会になる事を期待したい」とのコメントを出している 。 同研究所は2010年度より毎年、全地方議会にアンケート調査を実施。ことし7回目を迎え、1347議会から回答を得た(回答率75.3%)。