「3時ぐらいに来るさぁ」でいい沖縄の独特な仕事スタイル
企画書や報告書づくりも同じ。本土企業では精緻なPlan「計画」づくりにパワーをかけがちです。任された担当者はストレスを抱えながらも、90点くらいの完成度まで企画書を仕上げるでしょう。でも、沖縄では企画書も「だいたいこんな感じでいいですか?」と、70点くらいの完成度であがってくる。ナイチャー(本土の人)からすると「こんなアバウトな仕事をするなよ」とイライラするかもしれません。 では、本当に70%ではダメなのでしょうか? テーゲー思考では成功しないのでしょうか? それは考え方次第です。今70点なら、あと30点分の伸び代があると考えればいいのです。PDCAを重視しすぎると、メンバーが萎縮してしまい、能力を生かし切れない可能性もあります。無理強いすると、担当者のモチベーションが下がり逆効果になることもあります。
マネージャーに求められるのは、最初から90点を求めるよりも、こまめにフォローしながら軌道修正して、メンバーを育て、成果をあげていこうというスタンスです。ギチギチに指導をしてメンバーにストレスを与えるのではなく、素早くボールを投げて、キャッチボールを繰り返すのが沖縄流だと考えてみてください。 計画が未完成でも行動を起こし、軌道修正しながら成功を収めるというやり方は、中国人と似ているようです。行動の早さは中国企業がアジア市場で成功している要因のひとつとも言われています。日本企業が計画づくりに時間をかけている横で、さっさとビジネスを立ちあげて回転させながら実績をつくっていくのです。
■70点主義で走りながら考えるのが沖縄流 PDCAの対極となる手法として「iOIF」という考え方があります。「小さなインプット(i)」ですぐに「アウトプット(O)」、行動しながら足りないモノを「インプット(I)」。そして「フィードバック(F)」して見直すというスタイルです。 これは70点主義の「テーゲー」思考にも通じる考えです。最初から高い完成度を目指して計画するよりも、まずは行動する。行動から得た体験を生かして次の展開を柔軟に考え、うまくいかなければ別の展開を考えればいいのです。そのスタイルを高回転で回すのがミソです。「テーゲー70点」で上等、「走りながら考える」のが沖縄流なのです。
伊波 貢 :沖縄進出コンサルタント