【40代・50代の「医療未来学」】未来は、更年期症状を医療でカバーできるの?
必要な人に、必要な情報が届かないという現状
今は、正しい知識を持って予防や自衛をしている女性は、一部の意識の高い人に限られているようにも感じる。 「そうですよね。で、先ほどお話をした『ホルモンなどの数値がガクッと変わっている』という人であれば、当然ながら放置するのはあまりよろしくないですよね。極端な言い方をすると、(数値が)ガクッと変わってはいないのに情報だけ持っている人が『HRT(ホルモン補充療法)をやってみたいです!』となったところで意味はありません。 だから本来は、医学的に必要な人にこそ正しい知識、情報が届くべきなのですが、フェムケアというと、一部の意識が高い人、経済的に余裕のある人がやるものという、ちょっと別の話に置き換えられてしまっているように感じます」 確かに、「関係ないな」と思うことに対しては積極的に情報を得ようとはならないだろう。仮にメディアで見かけたとしても、「自分には必要ない」で終わってしまう。 「そこでぜひ知っておいていただきたいのは、“実際に症状が出て困っている人は、医療機関にさえ行けば保険診療で受診ができる”ということです。そもそも本人が病院に行かなければ、更年期症状であれ他の症状であれ、“病気”と認定してもらえないのが病気というモノなんですよ。 例えばギャンブル依存症だって、本人が自覚するか家族が無理やりにでも連れて行って受診しない限りは、病気とはみなされない。“病気はつねに、自己申告した人、病院に来た人だけが、病気と定義される”ものなのです。だから更年期の話も、ホルモンの激減によってうつの症状が出ていたり、頭痛やめまいが出ていたりするときに、こういったメディアの情報を得て、“『更年期症状かも?』と思ったならば、必ず病院に行ってほしい”です。そうじゃないと、そこから先にはなかなか進まないですから」 最低限そういった医療の制度、仕組みさえ知っていれば、経済的には平等に、更年期症状も治療の道はあるということだろうか。 「はい。これは、だいぶ先の未来の話になってはしまいますが…。ホルモン測定にしても数値がガクッと下がっている人の場合は、症状はまだ出ていなくても、ソフトランディングできるような薬が処方されるようになるとか、そういう医療制度が全女性に対して実施できる未来が訪れる可能性であれば、あると言えるかもしれません」 そうなる未来を願う。