イスラエル政府内の亀裂深まる、政権存続に不透明性-米国務長官訪問
(ブルームバーグ): ブリンケン米国務長官は1日のイスラエル訪問で、パレスチナ自治区ガザでの戦闘休止実現に取り組む。その課題をテルアビブの主要紙は一面で端的に伝えた。見出しは、イスラエル政府の「誰がかじ取りしているのか」だった。
強硬右派のベングビル国家治安相は、イスラエルがガザ南部のラファに侵攻しないなら、ネタニヤフ首相は「その意味を完全によく理解している」と主張。この発言に中道派の閣僚は「脅迫」だと反発する。
ブリンケン氏はネタニヤフ氏との会談後、ガザとの境界に向かい、人道支援状況について報告を受ける予定だ。
ネタニヤフ氏は政権をかろうじて維持しているが、ここ数日の展開はその困難を浮き彫りにした。
米国は人質と囚人を交換し、戦争を終結に導く戦闘休止を模索している。これに関連して最終的にイスラエルとサウジアラビアの国交を正常化させ、パレスチナ国家の独立に向け前進させたい考えだ。
ブリンケン氏が滞在するテルアビブのホテルには、人質帰還を求めるデモ参加者が押し寄せた。同氏はネタニヤフ氏との会談のためエルサレムに出発する前にデモ参加者に対し、「人質の帰還こそが、われわれがやろうとしているあらゆる行動の核心にある。現時点で、極めて強力な提案が持ちかけられている。ハマスは合意するべきで、これを実現させる必要がある」と語った。
一方で、いかなる合意であれネタニヤフ氏が受け入れることは可能なのか、政権を維持できるのかを巡り、不透明性は増している。
政権持続の鍵を握る極右指導者のスモトリッチ財務相とベングビル氏は、首相がラファ侵攻を遅らせ、収容所に捕らえているパレスチナ人数百人を釈放するなら政権を離脱すると述べている。ラファに数千人に上るハマス戦闘員が潜んでいると考えられていることが背景にある。
これに対し、昨年10月7日のハマスによる攻撃後に戦時内閣に加わったガンツ前国防相ら中道派は、人質解放に全力を尽くさないのなら政府は正当性を失うと主張。中道派はラファに対する懸念は二の次だとの立場だ。ハマスは約130人を人質として連行したが、一部は死亡したとみられる。