西武から巨人に移籍する若林。パンチのある打撃力が魅力だ

　巨人の松原聖弥外野手（２９）と西武の若林楽人外野手（２６）の１対１の交換トレードが２４日、両球団で合意に達し、発表された。若林の背番号は「５９」に決まり、近日中に会見を行う。昨秋に阿部慎之助監督（４５）が就任して以来、早くも４件目のトレード成立で、開幕後では１２球団初となった。機動力とパンチ力を併せ持つ右打者で、外野に加えて内野も守ることができる。戦力としてはもちろん、若手を中心としたチームの活性化につながることが期待される。 　阿部巨人が緊急トレードに動いた。西武から若林を獲得し、代わりに松原が移った。パンチ力を備える打撃に俊足、強肩を誇る若林について、阿部監督は「まずはヒアリングしたいなと思います」と切り出した。「ファームで内野も挑戦していたしね。ユーティリティーでやっていきたいのか、どこで勝負したいのか、ちゃんと聞きたいなと。それを尊重してあげて、そこから考えようかなと思います」と固定観念を捨てて、本人の意志で起用法を探ると明言した。 　抜群の身体能力で、無限の可能性を秘める。５０メートル５秒８の俊足も大きな武器で、指揮官も「それ（スピード）もあるしね」と期待する。ルーキーイヤーの２１年は交流戦までに２０盗塁をマークし、大きなインパクトを残した。その後は左膝の手術などけがが続いたが、今季は５月１日の日本ハム戦（ベルーナＤ）でサヨナラ本塁打を含む自身初となる１試合２発をマークした。 　指揮官がリサーチ済みなように、１軍出場はすべて外野だが、今季はイースタンで二塁手として８試合に出場。１６日の同・巨人戦（Ｇ球場）でも「５番・二塁」で出場していた。負傷者が多かった西武のチーム事情も背景にあるが、駒大苫小牧時代には内野手としてプレーしており、こなせるところを示した。「新天地でも走攻守でアピールして戦力として認識してもらえるよう、一生懸命、一から頑張ります」と西武を通じコメントした。 　今回のトレードで、様々な化学変化が期待される。本職の外野は現状、中堅・ヘルナンデスと右翼・丸が固定。左翼は立岡、萩尾、佐々木らで日替わりの起用となっている。２軍には秋広、浅野、岡田、オコエら、飛躍が待たれる若手がそろう。そこに機動力とパンチ力を併せ持つ若林が加わることで、戦力はもちろん、外野陣の競争の活性化にもつながる。 　内野にとっても貴重な存在。吉川、門脇、泉口、中山ら二塁を守れる野手には左打者が多く、岡本和、坂本に続く右打者は手薄だった。起用法次第だが、チームに“幅”をもたらすことができる。 　昨年１０月に監督に就任して以降、早くも４件目のトレードで１２球団で最も多い。戦力を整えることに加え、環境を変えれば飛躍する可能性のある松原のような選手にチャンスを与えたい狙いもある。「西武さんから、すぐ使いたいと言っていただいたトレードだったので。うちではチャンスが少なかったけど、西武でレギュラーになれるチャンスもある。それを目指して頑張ってほしい」と親心をのぞかせた。 　この日は、２５日のＤｅＮＡ戦が行われる新潟入りした指揮官。「勝負の８月、９月」に向け、チームを整えていく。 （井上　信太郎） 　◆若林　楽人（わかばやし・がくと）アラカルト 　▽生まれ　１９９８年４月１３日、北海道白老町生まれ。２６歳。 　▽サイズ　１７７センチ、７５キロ。右投右打。年俸１２２０万円（推定）。 　▽球歴　白老町立緑丘小１年の時、兄の影響で野球を始め、小６で日本ハムファイターズジュニア入り。駒大苫小牧高では甲子園出場経験はなく、駒大を経て２０年ドラフト４位で西武入団。 　▽故障　入団１年目の２１年５月３０日の阪神戦（メットライフ）の守備で左膝前十字じん帯を損傷し、同箇所の再建術を受けた。長いリハビリに耐え、昨年１０月、患部に入れていた金具を除去する手術を受けた。 　▽サウナ　サウナ好きの渡部、蛭間らとともに“サウナ部”を作り、自ら部長を務めていた。 　▽愛称　ワカ、ガクト 　▽座右の銘　人事を尽くして天命を待つ 　◆阿部監督就任後のトレード 　▼高橋礼＆泉圭輔←→ウォーカー（２３年１１月６日）　ソフトバンクと２対１。高橋礼は開幕ローテ入りを果たし、泉はリリーフとして１９登板。 　▼近藤大亮（同８日）　オリックスと金銭トレード。ここまで１軍登板はないが、イースタンで１９登板。 　▼郡拓也←→若林晃弘（２４年３月１１日）　開幕直前に日本ハムと１対１。郡は捕手、内外野を守れるユーティリティーとして開幕１軍入り。 　▼若林楽人←→松原聖弥（同６月２４日）　西武と外野手同士の１対１。