悩ましい「やんちゃなスタッフ」の育て方。店長やリーダーが間違いがちなNG対応とは?
『店長の鬼100則』(柴田昌孝 著、明日香出版社)というタイトルはパワハラっぽく感じられるかもしれませんが、当然ながら本書は昭和時代のような厳しさを押しつけるような書籍ではありません。 むしろ逆で、これからの時代を生き抜く店長のためのバイブルとして書かれているのだそうです。 根底にあるのは、過去にない人材不足と、売上不振にあえぐ店舗ビジネスの現実。オンラインでの買い物が当たり前になり、コロナ禍の影響もあって、店舗の存在意義が問われているわけです。 また、働き方改革が推進されたこともあり、好条件を求めるスタッフや、転職が当たり前の世代も増加しています。 そんな状況で責任を負った店長たちの努力は成果に結びつかず、注意したらすぐに「やめます」といいだす新人たちの接し方にも迷っているはず。変わり続ける状況の裏側には、悩み続ける店長が数多く存在しているわけです。 だが、時代のせいにしても何も始まらない。環境のせいにしていても好転はしない。唯一やれることは、自分自身のイノベーションだ! 周りが変わらないのなら、これまでの「店長の定義」を書き換え、自分を変えるしかない。(「はじめに」より) そこにこそ活路があるはずだと主張する著者は、呉服チェーン『やまと』の全国トップ販売員を経て、地元で家業の洋装店を継いだ人物。 路面1店舗を、10年で42店舗、150名、年商30億の専門店企業に成長させたのだそうです。その販売ノウハウが評価され、店舗運営コンサルタントとしても活躍。多くの有名企業から街の小さな商店まで、地域、規模、業態を超えて支持されているといいます。 つまり本書には、そうして身につけたノウハウが凝縮されているわけです。きょうは第4章「Staff development ~スタッフ育成の鬼~」のなかから、2つのトピックスを抜き出してみたいと思います。
「聞いてません」への最適解は?
著者はよく店長から、「最近の新入社員は、すぐに『わかりません』『聞いてません』『できません』と口にするが、どう対応したらいいのか?」と相談を受けるのだそうです。 たしかによくある悩みかもしれませんが、「そんな新入社員は、私が店長だった時代もいたし、私が新入社員のころにもたくさんいた」という著者の意見にも納得できる部分があります。いつの時代にも、そういうタイプは必ず一定数存在するわけです。 とはいえ、その際の対応には大きな違いがあるのも事実。昔であれば、「わかりません」といわれた店長は「なぜ聞いてこないんだ!」と怒ったもの。 しかし最近は、ものわかりのいい店長が多いのではないでしょうか? 「わかりません」「聞いてません」「できません」といわれたら、「じゃあ、教えてあげるからよく聞いて」と答えてしまう場合が多いということです。 必ずしもそれがダメだというわけではなく、学生と先生の関係だったらむしろ当然の話。しかし、仕事の場合は違うのだから、学生と社員の基本的な違いを明確化する必要があるのだと著者は主張しています。 聞いてないから、自ら調べる。やれませんより、やれない理由から問題点を抽出する。その心構えを教えてほしい。 そしてもっと大切なのは、「教えてもらって当たり前」という姿勢じゃなく感謝する気持ちをこの機会に教えてほしい。接客業は特に、この感謝する姿勢が生命線だ。(101ページより) 仕事において大切なのは、自ら動いて調べ、やってみること。まずそうしたうえで、教えてもらうことに感謝するべき。店長にはぜひ、そんな心構えを社員に教えてほしいのだそうです。(100ページより)