“トー横”12歳少女への「不同意性交」58歳元衆院議員に懲役5年求刑 「あの時だけ魔が差してしまった」被告人が裁判で語った動機
カラオケ店で何が起きたのか
偽名を使いカラオケ店に入店したことについて検察官が「未成年と一緒である後ろめたさがあったのでは?」と指摘すると、「それはない」と否定した被告人。 その上で、カラオケ店に入店してから性交に至るまでの流れも振り返った。 「部屋に入り飲み物を頼みましたが、10分ほどたっても飲み物が来ないので、催促の電話をしました。ドリンクが届いた後で(性交する)流れになりました。正直なところ自分でもよくわからない。しかし、結局、そういう流れに持って行ったのは自分です」(被告人) 2人の様子を見て不審に思ったカラオケ店の店員が店長に報告。店長が110番通報をして、警察が駆け付けた。 この時、被告人が被害者に「2万円あげるから」と言っていたことも明らかになっている。検察官に「児童買春の目的があったのでは?」と問われた被告人は、「この子を放っておけないと思っていた」として児童買春目的も否定した。 実際に被告人が被害者に渡したのは1万円。「タクシー代として渡したつもりだった」と釈明した。
被告人「違う自分がいた」「魔が差してしまった」
前述した通り、教育者としても働き、衆議院議員を2期務めた被告人に対し、検察官は「なぜ(選挙に)立候補したのか?」とも切り込んだ。 「経済的事情で進学を諦めた人をたくさん見てきた。そのため、教育の無償化を実現したかった」(被告人) 「その思いと、今回の行為との関連はあるのか?」と検察官が追及すると、「本当に自分の58年の人生の中で、この15分の行動のときは、違う自分がいた。本当に嫌になる。今でもわからない」と被告人は自分に対する落胆をあらわにした。 「誰でもかれでも声をかけて助けたいと思っていたわけではなく、被害者は受け答えもはっきりしていた(から助けられると思った)。しかし、理性をなくしてしまったのは事実です。 被害者は当時12歳。僕の人生経験の中では教え子のようなものです。しかし、年齢以上にしっかりした女性として、大人びた女性に見えた。あの時だけ魔が差してしまった」(被告人) さらに裁判長が「(トー横には被害者だけでなく)他にもいたのではないか?」と、被害者に声をかけた理由を尋ねると、被告人は「見た目と純粋さです。同じ年頃の子とは違うと感じた」「今思うと、弱みにつけ込むという考えはあったと思う」と答えた。 論告で検察官は「被害者が未熟であることに乗じて自らの性的欲望を充足させるために犯行に及んだ」などとして懲役5年を求刑した。一方の弁護側は「マスコミにも報道され、すでに社会的制裁を受けている」などとして、執行猶予を求めた。判決は2月3日に言い渡される予定だ。 ■渋井哲也 栃木県生まれ。長野日報の記者を経て、フリーに。主な取材分野は、子ども・若者の生きづらさ。自殺、自傷行為、依存症、少年事件。教育問題など。
渋井哲也