「ブスな顔のぬいぐるみは買わない」ディズニー限定グッズを買い占めるグループに密着 大量購入する驚愕の手法
転売ヤー見習いの夢
ベンチで待機している蒋偉の元へ行くと、ノートパソコンを出して何やら作業をしていた。 「大学の卒業論文の下書きをしています。テーマは『電気自動車が生み出すビジネスチャンス』について」 彼は卒業後も日本に住み続けることを希望しているという。もともとは不動産業界への就職を考えていたこと、しかしすでに就職活動を中断したことなどを話してくれた。 「じゃあ卒業後どうするの?」 筆者の質問に、彼は即答した。 「転売やります。しばらくは劉姐さんの会社で働いて、資金が貯まったら独立します。転売から少しずつ会社を大きくして、いろいろなものを扱う貿易会社にしたい」 「そんなに長く転売で儲けられるかなぁ」 「世の中から転売は無くならないですよ。転売が良くないこととされている日本では逆に、ビジネスチャンスがいくらでもある。やりたがる人が少ないですから。もしディズニー転売が廃れても、日本はコンテンツ産業やファッション産業が盛んですし、限定品として販売される商品がなくならない限り、転売は儲かりますよ」 劉姐に窘められてばかりで頼りない印象だった蒋偉からの、予想外の反駁に筆者は少し狼狽えた。 その後も2人で雑談をしているうちに、4人の女性転売ヤーは店を2回転して帰ってきた。これでこの店での買い付けは終了だ。持参したビニールバッグは、どれももうこれ以上はほとんど何も入れられないほどに、パンパンにふくらんでいた。 *** この記事の後編【転売ヤーがディズニーランドの「使用済みのチケット」を1000円で買い取る驚愕の理由】では、ディズニーに「年間20億円」の売上をもたらす転売の実態について報じている。転売行為を助長させている加害者は誰なのか――。 ※『転売ヤー 闇の経済学』より一部抜粋・再構成。
デイリー新潮編集部
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