東京は歩きすぎる!…地方との2拠点生活で見えた「東京は物理的にも疲れる街」の理由
東京って、いるだけで疲れる
地方から東京に遊びに来た友人と話していたときのこと。その友人が「東京って、いるだけで疲れるんよね」と言っていた。こう思う人、多いのではないだろうか。 【写真】若者はなぜシーシャ屋へ?ブームのウラに東京の繁華街が抱える「問題」 筆者は仕事柄、東京の街について書くことが多いのだが、その度に「東京は疲れます」というコメントが来る。 どうやら、多くの人がそう思っているようだ。もちろん個々人の感覚的な話だから定量的なデータがあるわけではないけれど、実感としてこう感じている人は、けっこういる。 では、どうして東京は疲れるのだろうか。 たぶん、その理由の一つが「座れる場所が少ない」こと。 筆者は都市ジャーナリストとして、東京に「座る場所が少ない」あるいは「座る場所はあってもなんだか座りづらい」ことを問題にして、その理由について考察してきた。カフェはどこも激混みだし、外でふらっと座れる場所も少ない(この辺りについては、この記事で書いているのでぜひ読んでください)。 そして、もう一つの「疲れる理由」は「東京がびっくりするぐらい歩かないといけない街」だからだと思う。今回は、そんな「歩かないといけない街・東京」のリアルと、そうなってしまう理由について解説する。
実際に東京は日本で一番歩く街
「地方より東京の方が歩く」話は、ネットを中心によく語られている。 たとえば、XのまとめメディアTogetterでは「Twitterの噂『地方の人間は歩かない、東京人は歩く』のは本当? 実態を探ってみた」と題して、Xで度々話題になるこの噂が本当なのかを確かめている。 この調査によれば、インタビューした東京に住んでいる人の83%は「徒歩15分ぐらいまでなら歩く」と答えたらしく、東京に住んでいる人の「徒歩」に対する抵抗感の薄さが立証されている。 実は、「東京は歩く」というのはデータ的にも証明されている。 東京大学とジオテクノロジーズが2023年に発表した共同研究の結果によれば、1日の歩数が最も多い都道府県は、東京都だった。1日に6136歩も歩くらしく、これは全国の中央値5009歩を大幅に上回っている。 他にも、ドコモの「dヘルスケア」上のデータを元にした「からだデータ白書2020」によれば、東京都の平均歩数は5749歩で全国1位。データを取っているのが2020年のコロナ禍中だったこともあって、上述の研究結果より歩数は少ないが、それでも堂々の1位である。 歩数の調査は正確な計測が難しいこともあって統計ごとに結果にブレはあるものの、おおよその調査で東京は上位5位に入っている。日本公衛誌第9号に掲載された「都市規模による歩数の違い」(井原正裕らの研究による)によれば、都市の規模が大きくなればなるほど歩数が増えることが報告されている。 となれば、日本でもっとも都市規模が大きい東京の歩数が多くなることは当然の結果だろう。 ちなみに筆者は東京と香川の丸亀で二拠点生活を行っている。試しに、東京での歩数と香川での歩数の3日間平均を同じ曜日で測ってみたところ、香川で1976歩だったのに対し、東京では4198歩だった。 当然ながら、香川での移動はほとんどが車で、東京では公共交通機関が主になるから、この結果も違和感がない。 特に筆者が住んでいるのは香川の郊外で、最も近いスーパーが2kmほど先。当然車を使うし、なんなら車に慣れすぎて本来は徒歩で行けるはずの近所のコンビニさえ車で行ってしまうこともしばしばだ。