米シティの誤発注問題、急落招いた15分間に何が起こったのか
15分間
そのトレーダーが誤発注した取引をまとめ始めようとする直前、同行の別のチームは当日の担当業務をどう分担するか検討していた。
社内の取引執行を通常リアルタイムで監視している同行のアルゴリズムサービスデスクはその日、担当スタッフが休暇で不在だったため、任務を電子執行デスクに移行することにした。
トレーダーが誤発注を入力すると、711の警告メッセージが表示された。そのトレーダーは可能な分はすぐに上書きし、午前8時56分に注文を出した。
取引はオーストリア、ベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイスの各取引所で執行され、欧州の株価指数は急落。シティグループ内部では幹部らが困惑し、急落の原因を突き止めようとニュースで材料を探った。
トレーダーは午前9時10分までに注文をキャンセル。だが、シティグループは4800万ドルの損失を出した。
電子執行デスクは誤発注に関する数百のアラートを受け取っていたが、どれも上級部署に上げなかった。電子取引リスク管理の別のチームは電子執行デスクにこの件を報告したが、それが実行されたのは午前9時31分だった。
イングランド銀行(英中銀)の健全性監督機構(PRA)は「誤発注の直接的な原因はトレーダーによる手動入力のミスだった」とした上で、「このミスはリアルタイムで取引を監視するリスク管理部門によってではなく、取引がシステムに入力されてから約15分後にトレーダーによって発見された」と指摘した。
シティグループは声明文で、この問題を解決できたことに満足しているとした上で、「当社は直ちにシステムと管理体制の強化に向けた措置を講じた。今後も法令順守の徹底に引き続き注力していく」とコメントした。
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