東京五輪「中止」でも日本経済は終わらない
実はさほど大きくない観光客効果
仮に五輪が中止になれば、当然のことながら観戦客の来日による景気刺激効果は失われてしまうので、その部分の追い風はなくなってしまいます。しかしながら、実のところ五輪期間中に期待される訪日外国人の消費額は、さほど大きくはありません。それは五輪によって訪日外国人が必ずしも増加するわけではないからです。過去のケースから判断すると、五輪期間中の混雑回避のために(五輪以外の)観光・出張を避ける動きがあります(たとえば2012年のロンドン)。 観光庁によれば、2019年の訪日外国人による旅行消費額は「年間」で4.8兆円でした。1か月当たりに換算すると金額は4000億円程度ですから、仮に東京五輪が開かれるはずだった期間の訪日外国人の消費額が半分になったとしても、それによって日本経済が大打撃を受けることは考えにくいのです。
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