湘南の惜敗にパワハラ疑惑で指揮官不在の影響はあったのか?
古林も順調に昇格を果たし、ザスパ草津への期限付き移籍から復帰した2012年に再び曹監督のもとでプレー。グランパス、ベガルタ仙台を経て、今シーズンから4年ぶりに「本当に好きなチーム」と公言してはばからないベルマーレへ、覚悟と決意を抱いて復帰した。 同点となった後は一進一退の攻防が繰り広げられた試合は、6分が表示された後半アディショナルタイムの最後にサガンの金井に決勝弾を決められ、ベルマーレが涙を飲んだ。それでもほぼ満員となったスタンドからブーイングは起こらず、むしろ万雷の拍手と声援がうなだれる選手たちに降り注いだ。 試合前に開催された約600人のサポーターとの定期的な意見交換会、ベルマーレクラブカンファレンスに出席したベルマーレの眞壁潔代表取締役会長(57)は、冒頭で一連のパワハラ疑惑騒動を謝罪。そして、Jリーグによるヒアリング調査に対してもこう言及している。 「調査日程は申し上げられないし、いつ終わるかもわからない。いまは選手がサッカーに集中できる環境を作ることが、僕らのやるべき仕事だと考えています」 曹監督を慕って今シーズンから復帰した、チーム得点王のMF武富孝介(28)が期限付き移籍契約の解除を申し出て、15日に浦和レッズへ電撃復帰した。激震に見舞われ続けるなかで迎えたサガン戦で、くじけそうになりながらも、自分たちの力で何とか立て直した。山根が言う。 「最後にやられてしまったところは僕たちの未熟さですけど、曹さんの指導もあって、自分たちでしっかり解決しようというエネルギーみたいなものはあると思っています」 混乱の収束のめどが立たない状況で、それでも試合はすぐに訪れる。サガン戦で顔をのぞかせた自立性や、曹監督のもとで育まれてきた個々の力に磨きをかけながら、ベガルタ仙台のホームへ乗り込む24日の次節へ向けて、ベルマーレはファイティングポーズを取り続ける。 (文責・藤江直人/スポーツライター)