新店が続々オープン! うなぎチェーン戦争がヌルッと始まっていた!
「その分、安くいいうなぎを提供したい」という経営哲学にたがわぬ内容で、うなぎを4分の3尾使ったうな重が2200円で食べられる。ひとり客がカウンターで高品質の料理を安く食べられるということで、「いきなり!ステーキ」やひとり焼き肉専門店「焼肉ライク」をほうふつとさせた。 高級店の中でも、記者が最も感動したのは「うなぎ四代目菊川」。20年に東京に進出した名古屋の名店で、一尾を丸ごと焼き上げるスタイルで知られる。約90年続くうなぎ卸問屋が運営する店ということもあって、うなぎの脂の乗りが段違い。5280円と決して安くはないが、職人の技術と良質な素材がふんだんに味わえるお店だった。 さて、うなぎチェーン市場は今後どうなっていくのか。再びはんつ遠藤氏に見解を求めた。 「今後は関西風の市場拡大がさらなる盛り上がりのポイントになるのではないでしょうか。先述のように、関東風のふっくらとしたうなぎがポピュラーになりましたから、それに消費者が慣れると今度は焦げ感がうなぎに求められるようになるはず。この調理加工の技術が進めば、うなぎ市場はまだまだ発展すると思いますよ」 実際、チェーン店ではないが、1925円でうな重(並)を提供する東京・武蔵小山の「うなぎ亭 智(とも)」など、関西風の名店は都内にも多数存在している。今後、こうしたスタイルが増えていけば、今以上の盛り上がりが期待できそうだ。 「また、今回はうな丼に注目して考察していますが、うなぎといえばうな重やひつまぶしにも一定の需要があります。特にひつまぶしは、最初はそのままうな丼のように食べ、次に薬味と合わせて味わって、最後にだし汁をかけて平らげるといった、独特の楽しみ方がありますからね」 さらに言えば、ダブルや特増しといったオプションを用意する「名代 宇奈とと」のように、牛丼に見られる特盛り路線にも伸び代がありそうだ。かつて贅沢(ぜいたく)品だったうなぎは身近な食べ物となりつつある。さらなる発展に期待だ! *価格は税込で、店舗によって異なる場合があります。出店エリアのうち、中心地域は☆で示しました 取材・文/友清 哲 写真/iStock