坂本龍一が愛用した楽器&機材を使用できるスタジオ、来春オープン
坂本龍一が愛用した楽器や機材を使用できるスタジオ「アーティスト・イン・レジデンススタジオ」が神奈川・DG CAMP AKIYA Yokosuka City内に来春開設される。 【若かりし頃の坂本龍一】「戦場のメリークリスマス」サントラジャケット IT企業・デジタルガレージが本日9月4日、坂本の東京とニューヨークのプライベートデジタルスタジオを次世代のクリエイターに継承し、彼の哲学や美学を伝播することを目的とした「坂本龍一ネットワークスタジオ構想」を発表。「アーティスト・イン・レジデンススタジオ」は、この取り組みの“アルファ版”として位置付けられている。なお「坂本龍一ネットワークスタジオ構想」の詳細は、2025年2月に東京の活動拠点となる渋谷区とともに発表される予定だ。 このスタジオでは、坂本が生前に愛用していた楽器や音楽機材が活用できるほか、スタジオに滞在しながら作品制作を行うこともできる。アーティストやエンジニアを育成するプログラムも同時に実施される予定。デジタルガレージは、スタジオについて「音楽と環境保護の融合を追求し、創造と共感の輪を広げていく新たな拠点となることを目指してまいります」と述べている。 また坂本龍一の遺族もコメントを発表。コメントには「坂本龍一が亡くなり、彼の音楽制作を支えた楽器や機材が数多く残されました。ヴィンテージ・シンセサイザーや、坂本が『僕の手のExtension』と呼んだピアノ、それらの音を集音した真空管のマイクロフォン、そして新旧の機材たち。これらを散逸させることなく、想像の源として新たな生命を与えたい」「坂本の楽器や機材のCASAが秋谷に、東京にできることになります。そこから世界へとつながり、たくさんの新たな才能が生まれることを期待しています」とつづられている。 ■ コメント □ 村井純(慶應義塾大学教授) 坂本龍一さんの知的好奇心と挑戦心の企画や作品にご一緒させていただいたとき、本題とは別に、「あいつ(坂本さんがその時々に出会った若者です)の夢を実現させたいんだよ」というセリフをよく聞きました。その対象は音楽や芸術を飛び越えて地球環境など、彼自身の夢だったことを思い出します。 「アーティスト・イン・レジデンススタジオ」が、坂本龍一という巨人がいつも抱いていた「次の世代への期待と愛情」を育む場として、そこから新しい人が坂本さんの夢の一部として世界に羽ばたいていくのを楽しみにしています。 □ 林郁(デジタルガレージ代表取締役 兼 社長執行役員グループCEO) ご遺族からのご相談を受け、坂本さんの楽器を次世代に伝える橋渡しの役を仰せつかり大変光栄です。 坂本さんは、実に多面的な顔をお持ちでした。時に最先端のデジタルテクノロジーを駆使し、時に環境問題を訴えるミュージシャンとして、時に不朽の映画音楽作家として、時に原発事故の後の福島の子供たちと楽しそうにクラシックを奏で、そのどれもが坂本龍一さんでした。 このスタジオ構想を通して、坂本さんの「音」と「心」をグローバルな次なる世代につなげ、このプロジェクトで坂本さんと共振する新たな才能が生まれることを楽しみにしています。 □ 伊藤穰一(デジタルガレージ取締役 兼 専務執行役員Chief Architect 共同創業者) 坂本龍一さんが、「若い人たちに本物のいい音楽を伝えたい」と話していたことを思い出します。また、数多くの人が、音楽活動を越えて社会を良くするために働きかけてきた坂本龍一さんから、様々なインスピレーションを受けてきたと思います。こうした坂本さんの思いやスピリットが、このスタジオを活用するアーティストやエンジニアにもインスピレーションを与え続けることを願ってやみません。