「SDGs17項目すべてを達成する街」を作るデンマークの不動産企業に迫る
スケールアップを自分たちから仕掛けることの重要性
環境にやさしい資材はあるが、コストが高い。となると、企業はコストが高いから買わないという判断を下しがちです。しかし、エヌレップはそれらの資材を積極的に大量購入しています。 そうすることでサプライヤーに資金が流れ、市場が確立されていきます。市場が生まれれば投資が活発になり、環境にやさしい資材を開発するコストも徐々に下がっていきます。このような市場のスケールアップを待つのではなく、自ら実践していく姿勢が素晴らしいと感じました。 エヌレップはリスクを冒すことで他の人たちがリスクを冒す必要がなくなるという考えのもと、自社のプロジェクトを壮大な実験場のように活用して、新しいモデル作りに挑んでいるのです。 ちなみに今回の視察で、エヌレップのオフィスで話をしてくれた担当者はエヌレップの理念に感銘を受け、米国からデンマークへと移住したと語っていました。経済性(儲け)とサステナビリティを両立させる社会的に意義のある取り組みは、世界中から優秀な人材を惹きつけているように思えます。(対談に続く)。 後編の山口周との対談では、成功した都市開発と失敗した都市開発を分ける要因について考える。そして、住居を提供する企業が顧客の要望を鵜呑みにしてしまうことの弊害についても山口が切り込む──。
Yuki Isogai