フランス国民議会選挙・第1回投票でマクロン与党が大敗、「極右」政党が最大勢力に躍り出たのは一体なぜか?
6月6日~9日に行われた欧州議会選挙では、極右や右派が大きく勢力を拡大した。特に、EUの屋台骨であるドイツとフランスでその傾向が著しかった。 【写真】欧州議会選挙2024で、「極右」「EU懐疑派」が大躍進したこれだけの理由 フランスでは、6月9日に、マクロン大統領が国民議会を解散した。巻き返しを図るためであるが、6月30日に行われた投票では、マクロンの賭けは外れ、またしても極右が大きく伸張したーー。
第1回投票の結果
フランスの国民議会(定数577議席)選挙は2回投票制である。第1回目の投票で、有効投票の過半数かつ登録有権者の4分の1以上の票を得た候補がいない場合、決選投票行われる。 エントリーできるのは、登録有権者の8分の1以上を得た候補者である。ただし、この条件を満たす候補が誰もいないか、1人しかいない場合は、上位2者による決選投票となる。決選投票は7月7日に行われる。 異常な短期間での選挙は、投票率66.7%で、1997年以来の高水準となった。国民の関心の高さがうかがえる。 第1回投票の結果、極右の「国民連合(RN)」とそれに連携する勢力が33.2%で首位、左翼連合の「新人民戦線(NFP)」が28.0%、マクロンの与党連合が20.8%で3位である。 RNの得票数は1000万を超えている。2年前の国民議会選挙では、与党連合の得票は約586万票だったので、その倍近い票を得ている。RNは、297選挙区でトップに立った。 1回目で当選したのは、RNが39人、左翼連合が32人、与党連合は4人であった。501選挙区で決選投票が行われる。また、決選投票で3人が残った選挙区は306になる。2年前の選挙では、8選挙区のみであったが、今回こうなったのは、投票率が高かったからである。 決選投票になる306の選挙区で、与党連合がトップで当選したのは70選挙区のみである。この結果を受けて、マクロンは、決選投票では「民主主義とフランスの価値観を重視する勢力」が結集するように呼びかけた。 一方、RNのバルデラ党首は、マクロン与党は敗北したと述べ、決選投票で過半数を獲得したら首相になるとの決意を明らかにした。 世論調査会社IFOPによれば、獲得議席予想は、RN(解散前88議席)が240~270議席、与党連合(解散前250議席)が60~90議席、左翼連合は180~200議席となっている。