フランス国民議会選挙・第1回投票でマクロン与党が大敗、「極右」政党が最大勢力に躍り出たのは一体なぜか?
反RN共闘は進むのか
RNを勢いづかせたのは、1958年にドゴールのイニシアティブで始まった今の第三共和政を支えてきたゴーリスト政党が、RNと手を組んだことである。今はマクロン政権野党で「共和党(LR)」という党名であるが、そのシオッテイ党首が、6月11日のテレビ・インタビューで、RNと協力すると表明したのである。 この伝統的保守党は、シラク大統領やサルコジ大統領を輩出しており、かつてはRNと協力することなど論外であった。フランス共和制の基本理念に反するとして、厳しく弾劾してきたからである。 しかし、今のLRは、国民議会577議席のうち62議席と1割程度の力しか持っておらず、シオッテイ党首はRNと連携することによって生き残りを図ろうとしたのである。 当然のことながら、LRの中では、RNとの協力に猛反発する議員も多く、党内が分裂状態となっている。 シオッテイは、第1回投票の結果を見て、「勝利は目前だ」と述べて、自らの判断の正しさを強調した。 アタル首相は、与党の候補で決選投票に臨む候補のうち、3番目に当選し、かつ可能性が少ない候補、約60人を撤退させ、左翼連合と共闘して、RNの単独過半数を阻止するという。 左派連合の最大勢力である「不服従のフランス(FI)」の代表、メランションは、1回目の投票でRNが1位、左翼連合が3位の選挙区では、左派は立候補を取り下げ、反RN票をまとめると述べている。 ソンム第1選挙区では3人の候補が決選投票に残った。1位が国民連合候補、2位が左翼のFIの候補、3位がマクロンの政党「再生(RE)」のアルバン・ブランダンであるが、同候補は2位の候補に票を集めて、RN候補を落選させるために、選挙戦からの撤退を決めた。このような動きが今後とも広まるかどうか、注目しなければならない。 既に60の選挙区で、マクロン与党と左派が提携して、第3位の候補が決勝戦から撤退することを決めている。