大阪万博のついでに町工場へいらっしゃい 中小企業の技術力アピール 見学サイト開設
町工場もパビリオンに-。大阪・関西万博を前に、工場見学ができる中小企業の情報を集約したポータルサイト「大阪街中(まちじゅう)ものづくりパビリオン」が注目されている。大阪万博の来場者などに町工場にも足を運んでもらい、中小企業の情報発信やビジネスマッチングを狙う。万博を「大阪のものづくり技術や製品を発信するチャンス」と位置付け、200社の登録を目指している。 【ひと目でわかる】「大阪街中ものづくりパビリオン」で工場見学に対応している中小企業の一例 「大阪旅行のついでに工場見学できるところはないかといった場合の検索にも便利」。府から事業を受託した、大阪産業局MOBIO事業部の奥田三枝子次長が特徴を話す。令和6年10月に開設したサイトは、視察マッチングシステム「シサリー」を活用し、商談や観光目的の工場見学を受け入れる。これまでに56社が登録した。 ものづくりのまちでもある大阪府内には、独自の技術で注目されている中小製造業者が多い。近年では自治体などが期間限定で工場見学を開催しているほか、通年で見学可能な工場もあり、企業と見学者を結ぼうとサイトを立ち上げた。 外国人の視察も想定し「英語資料あり」「通訳の同行があれば対応可」といった情報も掲載している。 団体見学を希望する場合は大阪産業局の「コンシェルジュ」がアシスト。企業探しなどを手伝う。旅行会社から万博会期中に視察したいという相談もあり、コンシェルジュの一人、矢野貴朗さん(56)は「これからは万博と絡めた依頼が増えるのでは」と期待する。 企業側のメリットも大きい。府内に工場やショールームがあれば応募でき、サイト掲載は無料。各企業はそれぞれ公開範囲を決めることができ、説明の際に映像を用いたり、対象を子供や商談目的に限定したりするのも自由だ。 国内の工場見学イベントは騒音などに対する苦情をきっかけに工場を知ってもらおうと始まったケースが多いとされる。結果、近隣住民の理解が深まるだけでなく、社員のモチベーションも向上。企業同士の交流が生まれ、人材確保や新規ビジネスにつながるなどの成果が出ているという。 鋳造業の「畑ダイカスト工業」(大阪府東大阪市)は、万博を訪れるインバウンド(訪日外国人観光客)を念頭にサイトに登録。精密な小型部品の生産が得意といい、畑浩基社長(50)は「実際に商品を見れば、興味を持ってもらえるのでは」と期待する。
同社にはベトナム人従業員も在籍するなど、ベトナム語や英語でも案内できる。畑さんは「働く姿を見てもらうことで、従業員は仕事に誇りを持つ。それが良い商品づくりにつながるはず」としている。(北村博子)