給食に毎年「あまおう」 地元産地が無償提供 福岡・柳川市
「やったー、あまおうだ!」。3月上旬、福岡県柳川市の中島小学校に歓声が響いた。市内の小中全25校統一の“イチゴ給食”の日。同県のブランドイチゴ「博多あまおう」有数の産地、柳川の子どもたちは、イチゴを「あまおう」と呼ぶ。 給食費では手の届かない「あまおう」が、同市の給食に出されるようになったのは10年前。地域が誇る農産物を地域の子どもに食べてもらおうと、市とJA柳川が2007年に「農業振興活性化会議」を共同設立し、無償提供を始めた。「あまおう」は10年前から毎年3月に提供しており、これまでに「博多なす」やアスパラガスなども出してきた。 同小1年生の教室ではこの日、給食時間の前から児童が待ちきれない様子。堤絢香さん(7)は「献立表を見ながらずっと楽しみにしていた」と話し、深紅の1粒を2口で食べた。平川真悠香さん(7)も「甘酸っぱーい」とうれしそう。 「家庭で食べる機会のない児童も給食で味わえる。柳川の全ての子どもにとってあまおうはイチゴの代名詞になりました」と萩野なぎさ校長が言った。 生産するJAいちご部会は今年度、過去最多の会員73人に増えた。高齢による離農者の数を20代を中心とした新規就農者数が上回り、販売額も12億円を突破。給食を含めた地域一体で地域の特産品を盛り上げている。
日本農業新聞