平成の大合併20年 旧市町村の8割超が人口減 03年→24年 熊本県内の〝南北格差〟顕著
熊本県内で「平成の大合併」が始まる直前の2003年と24年で、合併前の94市町村の人口を比べると、増加は14市町村にとどまり、80市町村で減少していることが熊本日日新聞の調査で分かった。県の24年の人口は7・4%減の172万8098人だった。 平成の大合併20年 まちとくらしの現在地
増加率トップは菊陽町の52・0%。富合町(現熊本市)が38・6%、西合志町(現合志市)が33・4%で続いた。企業の本社や支社などが集中する熊本市、半導体や二輪車の関連企業が多数立地する菊池郡市などに人口が集中している。 一方、20年の熊本豪雨で被害を受けた地域は大きく減少。坂本村(現八代市)は57・3%、泉村(同)は47・2%、球磨村は46・6%の減だった。県南の減少が目立ち、企業立地が相次ぐ県北は一定の人口を維持。〝南北格差〟が見て取れる。 合併自治体では、天草市や宇城市、八代市などで本庁舎所在地と周辺の人口格差が目立った。天草市は本渡市と他の旧9市町の減少率は23~34ポイント差、宇城市では松橋町と三角町の差は41ポイントに上った。広域合併した自治体ほど、中心部と周辺部の人口格差が広がる傾向がみられた。 調査は03年3月31日と24年1月1日時点を比較。総務省の住民基本台帳に基づく人口動態調査と、熊日が各市町村に実施したアンケート結果から分析した。(地方都市圏取材班)
人口減少率が高かったのは3位山都町、2位五木村、1位は… 熊本県内の現45市町村の人口を2003年と24年で比較すると、減少したのは38市町村。減少率の最大は球磨村の46・6%で、五木村41・6%、山都町36・5%と続いた。人口減少が顕著な自治体では、高齢化率(全人口に占める65歳以上の割合)や商工団体の会員数の減少率もおおむね高い。地域内で若い働き手や雇用の場、モノやサービスを買う場所が減り続ければ、さらなる人口減少も懸念される。 人口減少率が高い20市町村の24年1月1日時点(住民基本台帳ベース)の高齢化率は4~5割と県平均の32・1%を上回る。高齢化率最高は、山都町(人口減少率は3番目の高さ)の51・5%。一方、人口が増加した7市町村の高齢化率は20~30%台前半で、人口増加率トップの菊陽町は21・4%で最も低い。 また、熊日が調査した03年と24年の商工会と商工会議所の会員数(中小企業や商店など)を見ると、各自治体ごとの会員数の増減率は、人口の増減と一定の相関性がある。