マンゴーのバラが繊細に花開くリボンで飾られたシャルロット!芸術的グラスデザートにため息
美しく華やかで、おいしいものが彩り豊かに閉じこめられたパフェ。その人気は止まるところを知らず、美しさも味わいも日々磨きがかけられ、進化しています。 【画像】「ラトリエ ア マ ファソン」の写真をもっと見る! グラスの中で醸し出されるハーモニーは、まさに“parfait”(フランス語で「完璧」の意味)! このシリーズでは、今注目の心躍る魅力的なパフェをご紹介します。
「体験というより文化」。唯一無二の味を
アンティークの家具や美しい調度品に囲まれた夢のような空間で、おだやかな空気に身をゆだねながら芸術的パフェならぬグラスデザートをいただけるのは、東京・上野毛の「ラトリエ ア マ ファソン」です。 美しくカットされ、盛り付けられたフルーツといい、スプーンを入れることをためらうほどに華やかで可憐なプレゼンテーションといい、繊細に重なり合う味わいや香りといい、極限まで磨き抜かれたその存在は唯一無二。 「東京・町田の『Café 中野屋』(現在は閉店)時代から約20年、誰よりもパフェを追い求めてきました。でも、パフェ人気も過熱し、パフェというもの自体も多様化してよくわからなくなってきてしまった。だから、パフェと呼ぶのをやめて、ここではグラスデザートと呼ぶことにしたんです」と、オーナーシェフの森郁磨さんは語ります。 森さんが生み出すのは、食べてただ単に「おいしかった」「おなかいっぱい」で終わるのではなく、その日、その瞬間の事象がすべてそのグラスデザートに紐づいて心に刻まれたり、はたまた懐かしい記憶が呼び起こされたりという、心が動くひと品。「体験というより文化に近い」と、森さんは話します。 では、この春食べてほしい森さんがおすすめするグラスデザートをご紹介しましょう。
◆プリマヴェーラ
“春”の名前を持つ「プリマヴェーラ」は、イチゴに苦みのあるフキノトウなどを合わせた、日本の春がモチーフのグラスデザート。 美しくカットされたイチゴの真ん中には、こしあんを潜ませたふきのとうのムースに桜のグラサージュ(上がけ)をかけ、琥珀糖の桜の花びらをひとひら。みずみずしいイチゴの甘酸っぱさとふきのとうの苦みが心地よいハーモニーを奏でます。 その下から抹茶のクランブルと、清々しいヴェルヴェーヌのアイスクリーム、練乳と生クリームのムースが現れ、薄いチョコレートをパリンと割れば、日本酒「花垣」のジュレと桜のジュレが。桜の花吹雪に包まれるかのように、次々と現れるやわらかな春の香りが混じり合い、やさしい余韻が広がります。