広陵のエース高尾響、最大のピンチで真価を発揮 センバツ
◇センバツ高校野球1回戦(21日、甲子園) ◇○広陵(広島)3―1高知● 春の聖地にちらついた雪もやみ、晴れ間が広がった八回。完封が目前に迫った広陵の高尾響に試練が訪れた。 【熱戦を写真で】広陵-高知(1回戦) 味方の失策が重なって1点差に迫られ、なお1死三塁と犠飛でも同点のピンチ。だが、高尾は「自分は切り替えて。もう絶対点をやらない」。1年春から名門のエースナンバーを背負ってきた右腕は、味方のミスに動じることはなかった。 冬場の鍛錬の成果が凝縮された7球だった。高知の9番・片井翔太には、外角の際どいコースに直球とスプリットを投げ込んで追い込むと、最後は外角低めのスライダーで空振り三振に仕留めた。次打者は1ボールから内角直球で詰まらせ三邪飛に。最大のピンチで真価を発揮し、それ以上の失点を許さなかった。 昨秋の明治神宮大会では、1回戦で星稜(石川)に惜敗。この試合で課題に挙がったのが変化球の制球だった。「(明治神宮大会後から)ブルペンでずっと角、隅に投げることを意識した。直球を生かせるようにたくさん変化球を投げた」。投球の幅を広げようと、黙々と誰よりも投げ込んだ。 中井哲之監督が「目配り、気配りができる子。一番荷物を持つし、今日も朝食でコーヒーをいれてくれました」と人間性も評価するエース。3季連続の甲子園で、前回大会は3試合に先発し、優勝した山梨学院に準決勝で敗れた。 高尾は「1個上の代で、あと一歩のところで悔しい思いをした。悔しさをぶつけて、成し遂げられなかった日本一を取れるようにやっていきたい」。悔しさを知るエースがまた一つ成長し、甲子園に帰ってきた。【下河辺果歩】