“おかしいことが面白い”世界が生きやすい鳥居みゆきさん(43)「お笑い芸人になって息ができるように」|STORY
「変」がいいって世界に飛び込んだら楽になった
43歳の今でも、「変わっている」や「変」だと言われますし、言われない時期がずっとない。変と言われて傷つかないわけではないから、難しいんですよね。変ではない、正しいほうを選べればいいのに、正しいってなんだ?という思いが勝ってしまう。あとは、「変」と言われすぎて開き直ったものもありますが…。昔は、私が“変な世界”を作ればいいんだと思っていましたが、だんだん年を経るにつれて、変だったら、変が変じゃない世界に行けばいいのかな?と思うように。変がプラスに働く仕事…それが芸人でした。いいもの見つけたなーと我ながら(笑)どんな職業にせよ、変がゆえにいいということもあるとは思いますけど。私が芸人になると決めて活動を始めた頃は、女性があまりいませんでしたね。相当、男社会だったように思います。余談ですが、「女芸人」って言葉、どう思いますか?いまはジェンダー問題もあり職名も変化しています。例えば、保母さんは保育士になったり、女優も役者や俳優になったり。芸人は男のものだということなんですかね。私、この言葉がなくなればいいのになと思っています。
“あえて診断を受けないのは、今は許容されない世界だから
お笑いの世界に入ってから、生きるにおいてマイナスだと思っていたことがプラスに転換できるというか…変を個性として捉えてもらえるようになったので、生きやすくなりました。でも、面白いって笑えたことも、今の時代だと笑っちゃダメだということもあるのかな? 例えば…私の場合だと、もし自ら受診して発達障害と診断を受けたら、もう誰もいじれなくなると思うんですよね。「変」を笑えなくなっちゃう。それもわかっているから診断は受けに行きません。それは自由でしょ?と思いますし。 体型のイジリもしちゃダメな空気になってますよね。ただ、どんな関係性で、どういう気持ちで発したことなのか、それが悪意か好意かわからない中で、イコール悪いと勝手に決めつけるのは気苦労がすぎるように思います。傷ついてほしくないという先回りをしたいのかもしれないけど、傷つくからこそ得られるものもありますし。よっぽど自殺とかに考えが行かない限りは、それも一つの経験になると思うので、助言するまでに少し時間を置いてもいいのかな?と。あくまで私の意見ですが、周りが過保護になりすぎている一面も感じますし、挫折を知らない、失敗を知らない人が増えている可能性もありますよね、本当に難しいです。結局は人それぞれ。傷ついてからではダメだろう!って考え方の人もいていいし、そういう人の自由も許容してあげたいとも思いますしね。