智弁和歌山・中谷監督 夢舞台再び「しっかり準備」 /和歌山
夢の舞台で球児に試合を――。新型コロナウイルス感染症の影響で春のセンバツと夏の選手権大会も中止となった中、「センバツ交流試合」の開催が10日、発表された。県内からは智弁和歌山が試合に臨む。同校や県内高校野球関係者からは喜びや期待の声が上がった。【橋本陵汰、最上聡】 【動画】センバツ出場校、秋季大会熱闘の軌跡 「一つの目標を作ってくれてうれしい。しっかり準備していく」。智弁和歌山の中谷仁監督は感謝の気持ちと共に、先を見据えた。今回の決定は、10日の練習後に選手たちに伝えたという。「選手たちはなんとも言えない顔をしていた」と述べ、「中止や自粛で希望を持ってやれていない部分もあったと思う。難しい状況の中で希望を与えていただけた」と重ねて感謝した。選手たちには「甲子園で試合できるのは1試合だけ。特に3年生には卒業後も自分の支えになるような試合をしてほしい」と希望した。 選手の保護者は、甲子園での子どもたちの雄姿に期待していた。ある3年生の選手の父親は「夏の選手権大会が中止となり、甲子園の土を踏みたくても踏めない球児がほとんどだから、彼らの分も智弁和歌山の選手には輝いている姿を全国に届けてほしい」と喜んだ。 選手権大会の中止が決まったあと、父親は寮から自宅に3日間戻ってきた息子に心境を聞いた。甲子園への道が閉ざされたはずの息子は「自分は仲間に恵まれている。大丈夫。乗り越えられる」と気丈に答えたという。父親は、このときのことを振り返りながら、「今回は思いがけないチャンスをいただいた。私にも希望が見えた。うれしすぎて、言葉がない」と語った。 同校の高嶋仁前監督も開催の一報を受け「特に3年生にとって、本当に良かった。甲子園で試合をすること自体が選手の成長にプラスになる。感謝を忘れずプレーしてもらいたい」と語った。 県高野連の愛須貴志会長は「出場の権利を持っていたチームが試合できるというのは素晴らしい」と開催を歓迎し、「機会を与えてくれた周囲に感謝し、前を向いていくきっかけにしてほしい」と期待した。