石川祐希、高橋藍は実質確定?バレー五輪代表アウトサイドヒッターの座を巡る激しい競争
コミュニケーション能力でもチームを助ける大塚、急成長20歳の甲斐
同じく、東京五輪のメンバーに選ばれた大塚。レセプション、サーブ、スパイクとマルチに能力が高い。現在23歳ながら、強豪パナソニックパンサーズで主力として3シーズンに渡って活躍。来季からはイタリアリーグのミラノでプレーする。幼なじみの高橋藍と共に前回五輪に選ばれているが、試合に多く出た高橋藍と違い、大塚はほとんど出場機会を得られず悔しい思いをした。ただ、この3年でパナソニックでも日本代表でも、逞しさと頼もしさを身につけていった。OHの争いについて問うと、大塚らしい回答をした。 「(東京五輪を経験した)アドバンテージは全くないと思っていて、ここにいるメンバーはすごい力を持った選手ですし、それは普段の練習から認め合っている。もちろん、普段の練習から刺激し合って切磋琢磨し合っている。だからといって、お互いが認め合えるからこそ、練習以外ではピリピリしている雰囲気はないですし、お互い誰が残っても、自分が入ったら責任を持って戦いたいと思うし、入れなかったとしても素直に応援できるんじゃないかなというぐらいの今のメンバーのこの実力だと思うので、だからこそ、残るのは全然簡単ではなく難しい。だからといって、人と比べてどうこうというよりかは、まずは自分の一番のいいところを出して、そこで勝負したいと思っている」 大塚自身は自分の良さをこう見ている。 「攻守両方で安定したプレーと、どんどんアグレッシブに攻撃参加するところ。あとは、プレーで引っ張るというよりは、声とか気持ちで引っ張るタイプだと思う。コート内でも色々声かけしたりするタイプなので、コミュニケーションをしっかり取って、練習中でも普段の生活からも色んな選手との信頼関係を築いて、チームとして良い動きができる。声かけというのをしっかりできればと思っている」 バレーボールがチームスポーツという観点から、こういったコミュニケーション能力に長けた選手の存在は非常に大きい。 そして、パリ五輪メンバー入りへ急浮上しているのが専修大学3年の甲斐だ。身長はOHメンバーの中では最長身の200cm、昨年から本格的に代表で試合に出始めた新鋭だ。特にブラン監督が甲斐に期待しているのを感じる。大学在学中ながら昨年末から約3カ月、フランスのパリバレーへ短期移籍して活躍を見せた。ジャンプサーブやスパイクは既に海外の強豪国相手にも十分通用している。 「自分は守備の面で欠ける部分が多いので、そこの部分を克服すれば(五輪代表へ)一歩近づけるのかなと思ってます。去年代表シーズンを通して、ネーションズリーグでメダルを獲ったり、OQT(五輪予選)で切符を獲得したというのを間近で見ることができて、五輪にかける思いは本当に強くなりました。そこで自分も活躍したいという思いはすごく強くなりました」 甲斐はハッキリとパリ五輪代表への意欲を口にした。その控えめながらも持つ自信は短期間での海外リーグ経験を得たからこそ。 「高さの部分や、サーブの部分で少し上がった。3カ月間の最初と終わりの頃を比べて、(対戦相手の)高いブロックに対しての攻略の仕方について幅が広がった。そこが一番成長した部分。打ち方を色々と学ぶことができましたし、常に高いブロックがあったので、本当にそれに対して考える時間が増えた。海外の選手たちと一緒にトレーニングすることで、自分も負けてられないなとは感じました」 以前から潜在能力の高さ、将来性のある大型OHとして注目はされていたが、今回のVNL第1週で間違いなくアピールできていたのは甲斐だろう。特にスパイク面。強豪国の高いブロックに対して、そのブロックの横のワンタッチアウトを狙うのではなく、ブロックの上から強打して得点を重ねるなど、現状の日本代表OHでは唯一のタイプともいえる。また、甲斐はブロックでも非凡なものを見せている。