「明治の七宝」展 京都市東山区 清水三年坂美術館
江戸時代から七宝の黄金期を迎える明治時代につくられた数々の名品を集めた企画展が、京都市東山区の清水三年坂美術館で開かれています。日本の近代七宝は江戸末期に尾張の梶常吉が有線七宝の技法を解明したことが起源とされていて、明治時代に入ると技術や意匠が改良されるなど生産技術が最も円熟し、黄金期を迎えます。今回の企画展では、黄金期に京都を中心に活躍した並河靖之や濤川惣助、江戸時代に刀装具を彩った平田派の七宝作品など67点が展示されています。なかでも明治時代に東京で活躍した平塚茂兵衛の「鯱鳳凰図香炉」は銀線を編み込んで形を作り、その上を七宝で装飾しているのに加えて、シャチホコも表現されているユニークな作品です。また、明治から大正時代にかけて京都で活躍し、帝室技芸員にもなった並河靖之の「蝶図瓢形花瓶一対」は明治26年にアメリカのシカゴ・コロンブス博覧会に出品されたものと色違いの作品で、並河靖之が独自に作り出した黒色の釉薬をベースに、色とりどりの蝶が映えます。このほかにも、七宝の美しさや作られた地域・作家による作品の雰囲気の違いも感じることできるこの企画展は、12月1日まで京都市東山区の清水三年坂美術館で開かれています。