JALの経営に影響大?ワンワールド内「大げんか」も!豪州航空市場が大波乱
● JAL傘下のLCC3兄弟に 再編の可能性も? ただ、その場合、連結子会社であるスプリング・ジャパンやZIPAIR Tokyoの扱いをどうするかが課題となる。 2社のネットワークはジェットスター・ジャパンとほとんど被っていないので、共存はできそうだ。しかし、スプリング・ジャパンも長く経営が低迷しており、むしろ中国の不況もあって好転の兆しが見えない。23年3月期決算は債務超過に陥っているし、利益剰余金がマイナス132億円もある。 JALが100%出資するZIPAIR Tokyoは、24年3月期決算で61億円の最終黒字を出し一人気を吐いている。前述したLCC2社の状況を踏まえると、カンタスとジェットスターの経営分離をきっかけにLCC3社を再編するなどして全体最適化、非航空事業の収入最大化を図る方向性も考えられるだろう。 しかし、JAL系LCC3社の再編においては課題も多い。とりわけ以下から分かるように、主力機材が異なるのが大きな問題点である。 ◆ジェットスター・ジャパン:エアバスのA320シリーズが中心 ◆スプリング・ジャパン:ボーイング737シリーズが中心 ◆ZIPAIR Tokyo:ボーイング787が中心 主力機材がバラバラのままでは、整備費や人件費が跳ね上がりコスト増につながり、LCCとして低運賃を提供することは難しい。 また、ジェットスター・ジャパンの路線は自治体の支援を受けている地方路線も多い。仮に再編となった場合、維持できるかも課題となるだろう。 足元では、オーストラリア国内で航空2社の経営分離について現政権や最大野党の党首が一度否定したこともあり、具体的な動きとはなっていない。しかし、前述した国内外での混乱からカンタスの独占体制への不満は高まる一方であることを考慮すると、将来的な可能性としては残っている。 JALやLCCユーザーは潜在的な問題として、オーストラリアの航空市場の行方をウォッチしておいて損はないだろう。