「婚活よりつらい経験」40歳女性が直面した“現実” 彼との結婚はイコール不妊治療の始まりだった
不妊治療をしてきた友達をたくさん見てきたが、子どもを授かった人もいれば、授からなかった人もいる。また、不妊治療が思っている以上に精神的にも肉体的にも女性に負担をかけるというのも、友達を見ていて知っていた。 そこで先日、さだおに「不妊治療をしても、子どもを授からなかったらどうする?」と聞いてみた。すると、さだおが言った。 「そんなマイナスな気持ちでいたら、うまくいくものもいかなくなるよ。自分にとっての結婚は、子どもを授かることが最優先。みきちゃんだってそうでしょう? とにかく2人で頑張ってみようよ。子どもを授からないなら、結婚する意味はないでしょう?」
みきえは、筆者に言った。「よくよく考えてみると、不妊治療ってすごく不平等ですよね」。 「男性は精子を病院に渡せば、それで任務完了。それを卵子と受精させ、受精した卵子を女性の体に戻すけれど、着床するとは限らない。もし着床してもそこから育つとは限らない。戻してからの過程は、すべて女性が背負うことになる」 そう考えると、だんだん苦しくなってきたという。 「彼との結婚、イコール不妊治療のスタート。そして、もしも子どもを授からなかったとしたら、そのときには2人の気持ちがすれ違って、関係が終わる気がするんです」
その気持ちをさだおに正直に告げたようだ。しかし、彼からは「もしも頑張って授からなかったら、そのときは2人で仲よく暮らしていけばいいよ」という言葉は出てこなかった。 彼にとって、結婚イコール子ども。これが絶対条件だった。不妊治療に後ろ向きになってきたみきえに、不信感すら抱くようになった。 話し合いを重ねた結果、「この結婚はやめよう」という結論に2人で至った。 ■婚活より妊活のほうがつらい 「(さだおとの)結婚はなくなりました」と、電話で伝えてきたみきえは、声を詰まらせていた。
「“子どもを授かりたい。だから、結婚しなきゃ”という思いで婚活をしていたのですが、そこが絶対になってしまうと、自分の首を絞めるというのが、今回のことでわかりました。結局、私には結婚をする覚悟ができていなかったのかもしれません」 これまで筆者の相談所を成婚退会していった元女性会員のなかは、不妊治療をしていた人たちも多い。現在、している人たちもいる。 つらい不妊治療を経て、子どもを授かった人もいれば、年齢的なタイムリミットや、これ以上治療費をかけられないという金銭面から、授からずに治療をあきらめた人たちもいる。
不妊治療をした女性たちが、筆者に言っていた言葉は共通していた。 「婚活は大変だったけれど、妊活はもっと大変でした」 子どもを授かりたいがために、婚活をしている人は多いと思うのだが、まず大切なのは、子どもを授かることよりも2人の関係を築くこと。それを念頭において、婚活をしていくことが大事なのではないだろうか。
鎌田 れい :仲人・ライター