長野県が仮設候補地を毎年更新へ 熊本地震きっかけに情報整備本格化
災害時の仮設住宅の建設候補地について、長野県は今年から毎年公表することにし、2月末現在の状況をまとめた一覧表を先月公表しました。全県で用意できる建設候補地は520か所で、建設可能戸数は約7万6000戸に上ります。迅速な建設へ向けた取り組みで、熊本地震をきっかけに情報整備を加速。昨年初めて全県での候補地情報を発表しました。
520か所、想定戸数は7万5919戸
建設候補地の情報整備と一覧表の公表は、災害発生時にただちに仮設住宅建設に着手して全体の救難態勢を素早く立ち上げるのが狙い。急な土地探しや建設に伴う膨大な事務の軽減が期待され、他自治体の関心も集めそうです。 長野県は数年前から仮設住宅候補地の調査をしてきましたが、2016(平成28)年の熊本地震をきっかけに建設候補地の情報整備を本格化。昨年初めて全県の情報を公表しました。その後、仮設住宅の候補地情報は毎年更新することが緊急時の備えとして必要と判断。今年から毎年更新して公表することにしました。 市町村の協力で集め、3月26日に公表された候補地の一覧表によると、520か所の建設候補地で建設可能な敷地の総面積は約314万1586平方メートル。建設が可能とみられる想定戸数は7万5919戸。 建設候補地の地形条件などを考慮して、条件が悪い敷地に建てる場合は1戸当たりの敷地面積は100平方メートルとし、通常の敷地では1戸当たり70平方メートルとしました。この根拠は、阪神・淡路大震災の実績を参考にしたとしています。 市町村別に建設候補地の箇所数を見ると、長野市は41、松本市60、上田市38、岡谷市15、飯田市42、諏訪市10など市では大半が2けた台で、町村はほとんどが一けたです。 また、建設候補地のほとんどは土地の借用・買収手続の必要がない公園などの公有地が占めており、民有地は15か所にとどまっています。
県によると仮設住宅の建設は、被災地の気象状況、地形など環境条件が住宅の構造などに大きく影響します。豪雪地の場合は、大雪で住宅がつぶれないような工夫が必要。風や湿気、夏や冬の寒暖への対応なども求められます。上下水道など周辺のインフラの整備状況も検討課題になります。 2014年に長野県白馬村で起きた長野県神城(かみしろ)断層地震では多数の住宅が全半壊し、多くの住民が仮設住宅へ。豪雪地のため屋根に傾斜を付けるなどの設計が求められました。
--------------------------------- ■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者・編集者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説