Aile The Shotaが作品とともに語る、デビューから3年間の軌跡、音楽性の追求
1stアルバム『REAL POP』完成を記念して、Aile The Shotaを大特集。1st EP『AINNOCENCE』から5th EP『omen』、そして『REAL POP』に至るまでの軌跡を辿る。 【写真】Aile The Shota BE:FIRSTを輩出したオーディション『THE FIRST』に参加し、2022年1月よりソロアーティストとして活躍する、Aile The Shota。好奇心旺盛で、好きなこともやりたいこともたくさんあって、しかもどのシーンにいる人からも求められれば最大限の愛とクリエイティブで応えられる彼は、この3年間、さまざまなトライを積み重ねて「Aile The Shotaが一番大事にしたいアーティスト性とは何か」を探し続けていた。その中で辿り着いた答えが、『REAL POP』「本質的で大衆的である」ということ。「リアル」「本質的」という言葉は、強く鋭く聞こえるが、抽象的でもあり、受け取り手によって印象が異なると思う。だからこそこのインタビューでは、Aile The Shotaが思う「REAL」とは何か、しっかりと言葉にしてもらった。Aile The Shotaの深い歌が、あなたの人生のそばにあることを願って。 ―『REAL POP』はデビューからの3年間の集大成であり、Aile The Shotaとして大切にしたいことを見極めて、アーティスト性を磨いてきた先でできあがった作品だと思っていて。 間違いないです。 ―このアルバムからAile The Shotaを知る人もいると思うから、これまでの5枚のEPを振り返りながら、ここまでどういうトライを重ねてきたのか、どういう歩みを経てきたのかを今日は語ってもらおうと思っています。まず1st EP『AINNOCENCE』(2022年1月リリース)の時は、どういった自分で、どんな音楽を作っていたと思いますか。 タイトルに「イノセンス」という言葉を入れるくらいのマインドで、本当に好きな曲を作ったということに尽きると思います。その中で、ShinSakiuraくん、hokutoくんとか、いわゆる日本のヒップホップ、R&Bシーンで活躍している憧れの人たちとセッションして。ロゴが誕生したのもこの時で、ヘアメイクのクジ(メグミ)さん、写真のハタ(サトシ)さんとかも当時からずっとやってくれているし、プロジェクトのクリエイティブにおけるすべてのきっかけがここで、間違いないスタートを切れたなと思います。というか、これしかなかった。「AURORA TOKIO」(デビュー曲)のDメロでやっているようなメロディの作り方とか、「Like This」みたいに死生観を歌いながら本質的なR&Bをやっていることとか、Aile The Shotaの「REAL POP」の「REAL」を証明するための1作目だったなと思います。「AURORA TOKIO」がずっと愛される曲になっていることも嬉しいです。 ―たしかに、『AINNOCENCE』でやっていたことが一周回って太くなったのが『REAL POP』である、という言い方もできるかもしれないですね。 『omen』(5th EP)を経て、『AINNOCENCE』の時の感覚に立ち返ってる感じもありますね。「特別」と「愛のプラネット」には通ずるものがあるし、「AURORA TOKIO」と「踊りませんか?」や「さよならシティライト」にも親和性があるから。 ―1stの半年後に出した2nd EP『IMA』(2022年7月リリース)は、どういうモードで、どういうことにトライした作品だといえるでしょうか。 『IMA』はフラストレーションが強かった時期なので、もう大尖り(笑)。でも必要な尖りだったと思うんですよ。『AINNOCENCE』に比べて、Aile The Shotaというものも、Aile The Shotaに飛んでくるものも見えてきた時期で。「音楽ファースト」な見られ方ではなくなっていく感覚とか、俺からしたら「それは違う」と思うことを受けすぎていた。今思うとそれはSNSを見すぎていたせいで、ファンのことをちゃんとわかってなかったんですけど。その時のトゲが「IMA」という楽曲に全部表れていると思います。“誰かの腹を満たす 正しさは求めてない”って、なかなか言えない表現ですよね。でもその気持ちはまったく変わってなくて、トゲもいまだにバチバチにある。そういった中で、「常懐」「so so good」とか、Aile The Shotaの「POP」な部分を説明するために欠かせない要素も着実に増やしていけた作品だと思います。 ―今思うと、実際に心ない言葉がたくさん自分に飛んできていたのか、それともネガな言葉ばかりに自分の意識が持っていかれちゃっていたのか、どっちだったと思いますか。 それ(後者)も絶対にあったと思います。ポジティブな100よりネガティブの1が見える感覚にはなっちゃっていたし。でもそこで自分の媚びない、甘えない、迎合しない姿勢を形成できたから、必要だったのだと思います。当時から音楽ファーストで曲を聴いてくれている方は、今も変わらずリスナーでいてくれているだろうし、「IMA」も曲として相変わらず好きで。「IMA」から始まるライブが一番調子いいのは間違いなくて。ずっと救われてる曲ですね。やっぱりこれも「REAL POP」の「REAL」を形成するために欠かせないものだったと思います。 ―そのたった4カ月後に、3rd EP『LOVEGO』(2022年11月リリース)を出しているんですよね。 1年で3枚、気狂ってますよ(笑)。でもそうしないといけなかったと思うんですよね。ワンマンライブも急いでたし(2023年7月に初ワンマンツアーを開催)、この事務所で、Aile The Shotaという前例がない動きを1人で見つけ出さなきゃいけない時に、クリエイティブをして、それを世に出して、ということが絶対に必要だったから。『LOVEGO』は人として、Aile The Shotaとして、愛とエゴについて考えることができて、大事な気づきを得た作品だったと思います。「LOVE」という曲はまさに「自分はこうありたい」を説明する一曲ですよね。 ―そうですよね。『REAL POP』を聴いて、この作品やAile The Shotaのテーマを一言で表すなら「愛と踊り」だなと思ったんです。「愛を歌う」というアーティシズムを濃くしたのが、このEPでしたよね。 うん、間違いないですね。Aile The Shotaという名前に「愛」が入っているので、絶対に怠らずに向き合い続けたいものが愛だと思います。そう思うと、『LOVEGO』は大事ですよね。 ―サウンド面でいうと、「DEEP」でA.G.Oさんと一緒にタイトル通りディープなトラックの制作にトライできて、しかもそれがライブで大盛り上がりするくらいリスナーに受け入れられたことが、その後の「Pandora」や『omen』につながっているのかなと。 そうですね、たしかに。EPを出すごとに新しいアプローチの引き出しを開けなきゃいけなかったんですけど、「DEEP」は当時の僕の持っていた手札では太刀打ちできないくらいのトラックで。「DEEP」、結構エグいことやってるんだよなあ。「いつ大衆が気づくかな?」っていうくらいのエグいことをやってるから。他にもまだ気づかれていない、Aile The Shotaのヤバい部分は絶対にあると思います。それこそ「FANCITY feat. Soulflex」のラスサビ前のパートとか、ヤバいフロウで。気づいてほしいですよね(笑)。